EVのタイムアタックは事前準備と集中力

ヒョンデ アイオニック5Nを駆り、筑波サーキットで行われたJEV(一般社団法人 日本電動自動車振興会)主催のEVイベント・タイムアタックに参戦した。結果として1分6秒2、総合2位のタイムを記録することができた。
だが、実際にはまだまだ本来の性能を引き出せていない。むしろ5Nの奥の深さを知ったのだった。
このクルマの速さを引き出すには、従来のエンジン車とは別の手法があると思えてきた。
今回、あらためて感じたのは、EVのタイムアタックは「踏み続ける競技」ではないということだ。
アイオニック5Nはサーキット向けの制御機能が細かく用意されている。
アクセルレスポンス、ステアリング特性、出力特性など、調整できるセッティング項目が多いのだ。
理論派ドライバーを自負する僕にすれば(本当かいっ)嬉しい反面、問題もある。
機能がとても多いのだ。
自分でセッティングできる項目が多いのは痛し痒し
取扱説明書は300ページもある。走行モード関連だけでもかなりのボリュームだ。
サーキットを意識したレースモードがあり、その中にもさらにスプリントやエンデュランスといった設定もある。
あまりに多くて、しかも難しい。
当日まで完全には理解しきれなかった。
モニターと対峙し階層の奥深くへ入っていくのだが、そもそもこうした行為がアナログ人間の自分は苦手だ。
正直、今回はうまく使い切れていなかった。
昔だったら、こうしたセッティング作業はメカニックが担当していた。
ドライバーは考え方を伝えればよかった。走ることに集中できた。
ところが今は違う。
クルマの設定も自分の仕事になっている。
時代も、自分の立ち位置も変わったのだ。
ICEとBEVでは攻め方が違う

結局、サーキット関連の要点部分はヒョンデオーナーに教えてもらい、細かい様々な個別設定は今回諦め、とりあえずレースモードで走ることにとどめた。
さらにEVスポーツで重要なのは、バッテリー温度との戦いだ。
日産リーフの場合は、56℃でセーフモードに入り、すると極端にパワーダウンしてしまう。筑波サーキットでは全開走行で6周くらいが目安だった。
5Nで同様の検証はしていないが、やはり温度管理は重要になるのではないかと感じた。
タイヤも一周目が一番タイムが出る。
5Nが装着する20インチの超大径タイヤは600馬力を受け止めるグリップ力を有するが、あくまでも公道用で、サーキットを走るには当然だがトレッド剛性は不足気味だ。
周回を重ねて温まってくると、ぐにゃぐにゃしてきて頼りなさが出てくる。
つまりタイムを狙うなら、一周目、二周目が勝負だ。
今回は数周走ってからベストタイムが出たが、それは運転手が慣れてきたからで、本来は一周目でタイムを出すべきなのだ。
BEVで速く走る理想のカタチ

だから理想はこうだ。
コースイン後はペースを抑え、熱を上げない。
計測周回に入ったら、最終コーナーからアクセル全開。
その一周目に賭ける。
ブレーキポイントも徐々ではなく、一気に奥まで行く。
これが正解。
今回は、そんな理想な走りはできなかったが、1回目より2回目、2回目より3回目、そうして周回するごとに、クルマに自分が近づいてくる感覚があった。それは楽しい経験だった。
気がつけば、次はどう走ろうか考えている。
早く、もう一度走りたい。
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