ハイパフォーマンスカーは気合いで走らせるのが吉

ヒョンデ アイオニック5Nは、最高出力448kW(609PS)、最大トルク740Nm。さらに「Nグリンブースト」を使えば、10秒間だけ478kW(650PS)、770Nmまで上昇する。
0–100km/h加速は3.4秒、最高速度は260km/hという最強スペックだ。
このヒョンデ アイオニック5Nで、先日、筑波サーキットで開催されたJEV(一般社団法人 日本電動自動車振興会)主催のタイムアタックに出場した。
総合優勝したテスラ モデル3パフォーマンスのN選手がマークした1分6秒2に対して、僕の5Nはコンマ2秒落ち。
その差は、どこにあったか。
筑波サーキットの高速コーナー80Rである。
たとえばロードスターであれば、ここはアクセル全開でいける。多くのクルマが全開ではないか。
でもこの日、5Nで僕はいけなかった。
かなりアクセルを戻していた。
気になっていたので、表彰式の時、一位になったテスラ モデル3パフォーマンスのN選手に聞いてみた。
「80Rはアクセル全開?」
「うん、そう」
ガーン、やっぱりそうか……。
80Rで思い出した、現役時代の勇気

ここで踏むか踏まないか。たぶん、その積み重ねが0.2秒の差になるんだろう。
もし僕が現役の時だったら、どうだったろう。
もちろん、いきなり全開ではいかない。
でも、ある程度は突っ込んで、挙動が乱れるところまでは踏んでいく。
ところがその日の僕は、「ここは無理」と判断して、周回を重ねても、乱れるところまでいかなかった。
毎周、同じ程度に戻していた。
それでは高性能車の限界はつかめない。
ロードスターのようなパワーがないクルマは、テクニックの勝負だ。
ブレーキ。
ライン。
荷重移動。
小さな積み重ねでタイムを削っていく。
ところがハイパフォーマンスカーとの対峙の仕方は違う。
アクセルを踏むかどうか。
歯を食いしばって踏んでいけるか。
そうやって限界を探っていく。
最後は、「イッタレーッ精神」で!

つまり、速さを決めるのは技術よりも、挙動が乱れるその先を試してみる勇気なのだ。
もちろんリスク管理はするし、マージンも少しは残す。
でも最後は、「イッタレーッ精神」でコーナーに入っていく。
心(メンタル)の要素がめちゃくちゃ強いのだ。
限界というのは、安全圏から眺めていても見えてこない。
波乱が起こるところまでいって、初めて輪郭が見えてくる。
最後は、その一歩を踏み出せるかなのだ。
忘れていたそれを思い出した。
結局、速く走る方法はクルマによって違う。
同じサーキットを走っていても、走行方法はまったく違う。そして求められる気合も違う。
どうやら今回、限界を決めていたのは5Nではなく僕のほうだった。
守りに入っていてはだめだぞ、太田哲也!
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