ドッカンターボはマルニターボの魅力

昨年購入したBMW 2002ターボ(1974年製)が手元にやってきた。通勤にも使ってみる気だから、保険にも入った。
いまどきのクルマとはまったく異なる走行感覚が面白い。KEEP ON RACING Webのライターの高桑氏が試乗したとき、そのドッカンターボぶりに「おもしれーっ」と感動していた。
現在のターボ車といえば、低回転から過給を立ち上げて扱いやすくするロープレッシャー型が主流だ。しかし昔は違った。高回転域に入った瞬間、それまでとは別のクルマになったように加速する──そんなドカンと効く特性こそ、2002ターボの魅力だ。
ターボはもともと自動車を効率よく速くするための技術として開発された。しかし当時のクルマ好きはそこに別の魅力を見出した。愛車のキャラクターが豹変する、その刺激そのものを楽しんでいたのである。
IHIの技術者から聞いたターボの傾向

そういえば、当時フェラーリF40GTEにターボを供給していたIHIの技術者から興味深い話を聞いた覚えがある。
1995年当時、日本ではターボラグを嫌うジャーナリストが多かったと思う。できるだけターボラグを小さく、そんな論調が多かった。しかしその技術者によれば、イタリアのメーカーはまったく違ったという。
ランチア、フィアット、マセラティ、そしてフェラーリなどへターボを供給して分かったのは、イタリア人は「いかにもターボらしいフィーリング」を好むという。
「ドカンと来なければ、ターボの意味がない」
そんな傾向があるという話だった。
フェラーリF40GTEはドッカンターボだった

そう言われてみれば、ル・マン24時間レースでステアリングを握ったフェラーリF40GTEは、ノーマルF40の3倍に過給圧を高め、すさまじくドッカンだった。
アクセルを踏む。一瞬、何も起きない。
「あれ?」
と思った次の瞬間、背中を蹴飛ばされたような加速感覚が待っていた。
日本製のレースカーでは、あそこまで極端な味付けはなかなかしないはずだ。
ここにもお国柄が出るのかと面白く感じた。
太田さんはドイツ車に転向したの?

BMW 2002ターボは、1973年に量産車として世界で初めてターボチャージャーを搭載したモデルとして登場した。
いま乗ると、このクルマが生まれた時代にBMWのエンジニアが抱いていたターボ観が見えてくる。
なるほど、当時はこういう未来を描いていたのか。
普段、2002ターボと同年代の1974年式アルファロメオ ジュニア(1750ccのNA)に乗っている高桑氏も、2リッターターボの凄さをあらためて痛感し、そのキャラの違いに驚いていた。
ところで、BMWを購入したことで、「太田さんはドイツ車に転向したのですか?」と聞かれることがある。
僕はこう答えている。
「ドイツ車を買ったんじゃない。2002ターボを買った」
そう言うと、このクルマのキャラクターを知っている自動車趣味人は、納得してくれる。
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