レース前の必須作業「慣らし運転」

長年愛用してきた塩ビ色のNR-Aが新しいオーナーの元へ旅立ち、僕の手元には新しいソウルレッドのマツダ・ロードスター NR-Aがやってきた。そしていよいよ、「ビースポーツ・ロードスター・マスターズ」にこの新型NR-Aで参戦する日が近づいている。
その前に絶対にやらなければならないのが、そう――“慣らし運転”だ。
さっそく仲間たちに「慣らしって何kmくらいやっている?」と尋ねてみたところ、「1000km」「5000km」「速さを求めるなら1万km」などと、まぁ答えはバラバラ。僕としては「とりあえず1000kmまではやってから全開にしよう」と決め、せっせと距離を延ばすことにした。
エンジンを傷めずに負荷をかけるため、極低回転の2000rpmから始め、100kmごとに500rpmずつ上げていく方式でスタート。しかし4000rpmにもなると、一般道では明らかにスピードが出すぎるようになってきた。
ナンバー付き車両の利点は、公道で慣らし運転できること。けれど4000rpmでは速度域が高くなりすぎて、さすがに下道では厳しい。2速/4000rpmでグワングワン言わせながら走ったものの、近所迷惑な感じ。ということで、回転数キープのため高速道路へ。
ちなみに本格的なレーシングカーは、そもそも公道を走れないので、エンジン単体を専用のベンチに載せて慣らし運転を済ませるのが一般的だ。
自分でやるから愛着が湧く

そうこうしているうちに、走行距離が500kmに到達。オイル交換の推奨は1000km程度だが、ここで早めにオイル交換をした。エンジンオイル、ミッションオイル、デフオイルの切粉(けずりかす)の確認も行ったところ、エンジンはほとんど汚れなし。トランスミッションとデフからは多少の切粉が出たが、これは想定内。エンジンはアルミ製で精度が高いことも影響しているのだろう。
そしてフレッシュな気持ちで、「一気に1000kmまで走っちゃおう!」と思い立った。妻を誘い、都内の自宅を出発し、静岡県の清水港で海鮮ランチを堪能する計画だ。食事後はそのまま東名で帰ると距離が足りなさそうだったので、北上して中部横断道を経由して南アルプス市・甲府経由で中央道で東京に戻るルートを選択した。中部横断道には道の駅がたくさんあり、寄り道して野菜をいっぱい買って野菜をいっぱい買って帰宅した。
自宅に戻った時点でメーターを見るとなんと走行距離998km!わずか2kmの誤差。で、ほぼ計算どおりで感動した。
慣らし運転の“アルバイト”も存在するが、たまごっちのように自分で育てるからこそ意味がある。犬の散歩を代行するサービスもあるが、やはり本来は飼い主がするのが理想的。慣らし運転も然り、その方が愛車に愛着がわくな。
そんなわけで最近は距離を稼ぐために、どこへ行くにもNR-A。妻に「この1台で我が家のクルマ、十分じゃない?」と言われてしまっている。
あらためてナラシの大切さは、600PSのハイパワーマシンなら1PSの違いは誤差かもしれないが、1.5Lの自然吸気ロードスターにおいては、0.5PS、1PSの違いがタイムに直結する可能性もある。だからこそ、やれることはすべてやっておきたい。
慣らし走行は1500kmまで延長

中には「1万kmまで走れば、各部のフリクションが減って速くなる」と主張する人もいる。つまり、何をもって“慣らし完了”とするかは難問だ。走行距離を稼ぐことなのか、それとも7500rpmまで回せるようにすることなのか。
当初は「1000kmで慣らし終了」のつもりだったが、走行中の感触や切粉の様子を見て、1500kmまで引き延ばすことにした。今現在1200kmまで到達し、6000rpmまでは回している。あと300km、そして1500rpmぶん回転数を上げれば、ひとまず“慣らし完了”だ。
6月26日に開催される袖ヶ浦フォレストレースウェイの第14回大会。そこまでには、全開走行可能な状態に仕上げておきたい。明日は本番と同じサーキットで練習走行があるので、6000~7500rpmの領域は、クローズドコースで試してみる予定だ。
とはいえ、サーキットではそれほど長距離を稼げないので、慣らし運転の仕上げはやはり今夜か? 独りナイトドライブを敢行するか。
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