【徹底比較】新型スバル フォレスター、買うならターボ?ハイブリッド? 納期・燃費・走りの違いから後悔しない選び方を太田哲也が解説
2025.06.13
新型スバル フォレスターの公道試乗会に参加
新型スバル フォレスターは、発売初月の受注台数が1万台を突破し、歴代フォレスターの中でも最大のスタートを記録したそうだ。2代目・3代目レガシィに続くような好調ぶりで、現在も受注台数は増え続けている。
中でも人気はやはり「ストロングハイブリッド」仕様。発売当初の4月時点で受注の85%を占めていたという。ただ、5月に入ってからは「1.8リッターターボ」仕様が40%までシェアを伸ばしており、今後もその傾向は続くとスバルは分析している。
ボディカラーでは、ホワイト、ライトグレー、グレー、ブラックが中心だが、そこに「グリーンメタリック」も加わるようだ。僕が購入するとしたらレッドだろうが、わずか1%の実績だという。
なお、納車時期はストロングハイブリッドが1年超え。対してターボは数ヵ月程度で納車される見込みだという。この納期の差も、ターボの受注が伸びてきた理由のひとつのようだ。
ターボは「力強く、キビキビ」
1.8リッター直噴ターボエンジンは、わずか1600rpmで最大トルクを発揮。昔のドッカンターボのようなピーキーさはなく、常用回転域から力強い加速が得られる。
0-100km/h加速では、ストロングハイブリッドが9.6秒に対しターボは8.6秒。従来型e-BOXERの12.2秒と比べても大きく進化している。
ここからは僕(太田哲也)の感想だ。
ターボの方が自分にはフィットしていると感じた。走っていて「一体感」があって「相棒的」。サーキットでは明らかにターボの方が楽しかった。
ただし、予想通りストロングハイブリッドは一般道での燃費性能が高い。車重も重いのだが、しかしその重さが逆に“高級な乗り味”を演出している。
例えば荒れた路面を低速で走った時でも、サスペンションが深くストロークして重さがうまく振動を吸収してくれる。細かい揺れに対して重みがあることで、路面の当たりがやわらかく感じる。
エンジニアに聞くと、ダンパー特性をストロングハイブリッド専用に変えているという。ターボはレスポンスを重視したセッティングで路面情報を素早く伝えてくる。結果として運動特性は高いが、極低速走行では少しゴツゴツとした乗り味の印象となる。
ストロングハイブリッドは、逆にその応答性を敢えて鈍くすることで路面からの微細な振動を遮断。静かで滑らかな高級感のある乗り味に仕上げている。
ワインディングロードではターボ優勢
房総半島の試乗コース内にあるワインディングでは、やはりターボのレスポンスの良さが印象的だった。ステアリングを切った瞬間、クルマの向きがスッと変わりはじめる。対してストロングハイブリッドは一瞬、遅れるような印象がある。
ただし、それが致命的なデメリットかというとそうでもない。速度レンジが低い公道では、少し早めにハンドルを切るなど、タイミングをつかめば問題にならないからだ。多くのドライバーにとってもすぐに慣れて気にならなくなるレベルだろう。
ターボは“キビキビ”、ストロングハイブリッドは“しっとり”。ユーザーがどちらのキャラクターを好むかだと思う。ちなみに、うちの妻の“のんびり運転”にはストロングハイブリッドの方が合っているように感じた。
マフラーは見た目も重要?
ひとつ気になったのが、ストロングハイブリッドのマフラーが片側1本出しになっていること。しかも、バンパーの反対側には2本出し対応の切り欠きがあるので、「本来は2本出しにするはずだったのでは……?」と思わせる。
ターボはちゃんと左右2本出し。やっぱり見た目も大事だよね。スバルのエンジニアに聞いたところ、片側1本出しにした理由は「ダミーでも重量が増えるのは無駄」という判断だったそうだ。
でも、2本出しのターボに惹かれて買う人もきっといる。「ターボの2本出しの方が、かっこいいよね」って盛り上がれる気がする。そういう人とは仲良くなれそうだし。
ストロングハイブリッドとターボ、どっちを選ぶ?
買うなら……僕ならやっぱりターボかな。やっぱりリアバンパーにある点線状の切り欠きはいただけない。でも下道での燃費を重視するなら、ストロングハイブリッドの方がいいよね。迷うなあ。
高速道路での燃費は両者にそれほどの差はないという印象だが、やはりストロングハイブリッドの燃費に期待したユーザーが初期の注文に集中したというのは納得。
TEZZO CARSのデモカーとしてカスタムベースにするなら、ターボを選びたい。妻が使用するクルマとしたらストロングハイブリッドだな。
ストロングハイブリッドの実用性
ストロングハイブリッドには、モーターだけでのEV走行が可能な場面も少しある。エアコンもエンジンオフ状態で使える(ただし10~20分程度で再起動)。
アウトドアでコーヒーメーカーを動かす、なんていう用途には向いているが、実際にどれだけそういうシーンがあるかはユーザー次第だ。
1500Wまでの電化製品が使用可能なので、“小型発電機代わり”としては便利。でも、家庭への給電などには対応していない。
カスタマイズも楽しめる
なお、スバルのエンブレム「六連星 (むつらぼし)」のエンブレムのない「グリル」も用品扱いで用意されている。
これを装着すると、アメリカンSUV的な雰囲気が出て、どこの国のクルマかわからなくなる感じもあって面白い。カスタムをして個性を出したい人にはアリだと思う。
〇スペック
スバル フォレスター ストロングハイブリッド Premium S:HEV
●全長×全幅×全高:4,655mm×1,830mm×1,730mm
●ホイールベース:2,670mm
●車両重量:1,750kg
●エンジン:水平対向4気筒DOHC16バルブ AVCS直噴
●排気量:2,498cc
●最高出力:118kW/5,600rpm
●最大トルク:209N・m/4,000-4,400rpm
●駆動用モーター:MC2・交流同期電動機
●最高出力:88kW
●最大トルク:270N・m
●駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
●容量:4.3Ah(2h)
●トランスミッション:リニアトロニック
●使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
●タンク容量:63L
●サスペンション:前/ストラット式独立懸架
後/ダブルウィッシュボーン式独立懸架
●ブレーキ:前後/ベンチレーテッドディスク
●車両価格:448万8000円(Premium S:HEV)
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