アルファロメオ復活の鍵はジュニアとトナーレにあり? ブランド価値の転換点を読み解く

  • 太田哲也
2026.06.22

これからアルファロメオはどうなるのか?

今回、ジュニアやトナーレをリリースし、ブランドを残していく方向を選んだように見える。その一方で、ジュリアのようにブランドの上側を支える存在となるプレミアムクラスは、生産終了はなんとか免れたものの、今後、後継はしばらく登場しないようだ。

もしかすると、もう出てこない可能性すらある。そうなると、ジュリアという存在は後から振り返った時に、思っている以上に貴重なモデルだったという評価になるかもしれない。

その背景を考えると、アルファロメオは一時期、マルキオーネ社長時代に、アッパーなブランドへ進もうとしていた。マセラティ側にポジションを寄せ、プレミアム化を進めようとした。しかし結果として、日本市場では従来のファンとの距離が広がってしまったようだ。

とくにジュリア クアドリフォリオは、発売当初、日本市場では想定したほど勢いが出なかった印象がある。白の個体などは、当時ディーラーでかなり大きな値引き販売が行われていた。もちろん地域差や時期差はあったと思うが、高性能モデルを投入すれば自然にブランド価値が上がるという単純な構図ではなかった。

早々に使ってしまった“特別な名前”

その象徴がクアドリフォリオだったのではないか。

本来クアドリフォリオは、アルファロメオにおけるAMGやBMW Mのような、ブランド全体を引き上げる象徴的な存在になれた可能性があった。ところが、ミトやジュリエッタ時代に比較的広く名前が展開されたことで、“特別な名前”を早い段階で使ってしまった印象だ。

もちろん、それによってブランドを盛り上げた面もあるだろう。ただ、その後ジュリアやステルビオで再び絶対的な頂点として存在感を作ろうとした時に、昔の神格性を持たせることが難しくなってしまった――これはあくまで僕の見方だが。

そもそも、日本におけるアルファロメオ人気を作ったのは、90年代から2000年代の155、156、145、147あたりのセダン/ハッチバック車だった。

従来のアルファロメオユーザーが追いかけ続けるのは難しい

あの頃のアルファロメオは、会社員でも頑張れば手が届くプレミアムカーだった。そこで多くの熱心な支持層を作ることができた。その後のミトやジュリエッタも比較的現実的な価格帯だったことから、多くのファンを獲得した。

しかし現在、ジュリアはスプリントでも685万円スタート。さらにラインナップ全体を見ると、ジュリア以外は小型SUV専売メーカーになったかのような構成になっている。そしてジュリア クアドリフォリオは、もはや1400万円級だ。

そうなると、従来のアルファロメオユーザーが追いかけ続けるのは簡単ではない。

ジュニアとトナーレの行く末にブランドが見えてくる

同じような難しさは、マセラティにも見える。

マセラティも従来のユーザー層とは異なる価格帯や商品戦略に舵を切った印象がある。たしかにMC20は性能も作りも魅力的なクルマだった。しかし、長年のマセラティファンと、新しく狙ったスーパーカーユーザーの双方に対して、立ち位置が曖昧だったようにも感じる。

ブランドイメージを上げることは難しい。

アルファロメオの場合、クアドリフォリオの名前がその役割を担うはずだった。しかし伝家の宝刀を抜くタイミングが少し早かったのかもしれない。

だから今後の注目点は、ジュニアとトナーレが、かつて155、156、145、147に乗っていたようなユーザー層や古くからのアルファロメオ好きに、どこまで受け入れてもらえるかだと思う。

アルファロメオが変わったのか。それとも、ファンが求めるアルファロメオ像が変わらなかったのか。

その答えが見えるのは、案外ジュニアとトナーレの結果なのかもしれない。

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