アバルト595の進化と魂 【番外編1】アバルト595 オーナーのリアルボイス

2025.04.21

「刺激」と「こだわり」が日常にある人々の物語

アバルト595はただのホットハッチではない。

このクルマを選ぶ人は、スペック以上の“感性”に価値を見出す人たちだ。

今回は実際のシチュエーションを想定し、3名のオーナーに“なぜ595なのか?”を語ってもらった。


■ Case 1:高橋俊哉さん(東京都・40代・広告代理店勤務)

車種:Abarth 595 Competizione(2020年モデル)/カラー:グリジオ・カンポヴォーロ(グレー)

「この車に乗り始めてから、“運転する”という行為そのものが趣味になった」

渋滞続きの首都高も、595に乗れば“集中できるゲーム”になる。

そう話す高橋さんは、平日は都心へクライアント巡り、週末はワインディングへ一人旅。

「ブレンボの効き、ステアリングの反応、低速域でも感じられる“生きてる感覚”が中毒なんです。」

通勤用にドイツ車も検討したが、決め手は“試乗時の高鳴り”だった。

今ではマフラー音を聞くだけで「今日も行けそうだ」と気分が上がるという。

「あえて不便な車を選ぶって、もはや人生の贅沢だと思うんです。」


■ Case 2:森本千紗さん(兵庫県・30代・ジュエリーデザイナー)

車種:Abarth 595C Turismo(2019年モデル・オープントップ)/カラー:ピンクゴールド(特注塗装)

「アクセサリーみたいに“持つ喜び”があるんです、この車は。」

神戸で小さなジュエリーブランドを営む森本さんは、パーソナルな美意識に合わせて595を選んだ。

特注のピンクゴールドに包まれた595Cは、まさに“走るジュエリー”。

「可愛いけど媚びてなくて、走り出すと“キリッ”と表情が変わる。そのギャップが好き。」

ルーフを開けて海沿いを流せば、目線も風もすべてが変わる。

BGMはマフラーの音だけで十分――そう語る森本さんの言葉からは、この車との“対話”が感じられる。


■ Case 3:佐々木良太さん(新潟県・50代・地方新聞社記者)

車種:Abarth 595 Esseesse(2021年モデル)/カラー:ビアンコ・ガーラ(ホワイト)

「地方に住んでいても、“小さくて本気”な車に乗れる幸せがある。」

雪国・新潟でもアバルト595は楽しめる。

佐々木さんは毎朝の通勤路にある峠道を“プチ・サーキット”に見立てて走るのが日課。

「FFで軽い車って、雪道でも案外頼れるんですよ。タイヤだけ良いの履かせておけばね。」

趣味はラリー観戦。子育ても落ち着いた今、“自分のための車”としてEsseesseを選んだ。

「正直、見た目より運転してナンボの車。走らせるたびに“ああ、生きてる”って思える。」


■ 総評:アバルト595に乗る人たちの共通点

インタビューを通して見えてきたのは、オーナーたちが595を単なる交通手段としてではなく、自己表現のツール、あるいは人生のアクセントとして選んでいることだ。

  • 「通勤が趣味になる」

  • 「クルマが、今日の気分を決める」

  • 「不便さも含めて、愛おしい」

そんな言葉が、アバルト595という車の“本当の価値”を教えてくれる。

 


連載目次:小さな毒蛇の咆哮 ― アバルト595の進化と魂

【第1回】アバルトの起源と“チューンド500”の誕生
【第2回】ブランドの消滅と復活への胎動(1980〜2000年代)
【第3回】2008年、アバルト595として復活
【第4回】特別仕様車と“イタリア流ホットハッチ”の確立
【第5回】EV時代を前に、小さな咆哮はどこへ向かう?

【番外編1】アバルト595 オーナーのリアルボイス
【番外編2】アバルト595 サーキット仕様オーナーの声
【番外編3】アバルト595 vs アバルト500e 乗り比べオーナー対談