アバルト595の進化と魂 【番外編3】アバルト595 vs アバルト500e 乗り比べオーナー対談
2025.04.21
“うるさいアバルト”と“静かなアバルト”、2台の真価とは?
登場した時からファンの間で話題を呼んだアバルト500e。
一方で、長年にわたり愛されてきた“音と刺激の塊”アバルト595。
今回は、両方を所有・体験している2人のオーナーに率直な乗り味の違いと感情の動きを聞いてみた。
■ 登場人物紹介
◯ 藤井雅貴さん(愛知県・40代・IT系企業マネージャー)
所有車:Abarth 595 Competizione(2021)+Abarth 500e(2023)
「どちらも“サソリ”だけど、毒の質が違う」
◯ 小池遥さん(神奈川県・30代・フリーライター)
過去所有:Abarth 595C Turismo/現在:Abarth 500e
「“うるさい方”から“静かな方”へ。でも“ワクワク”は残った」
■ 乗り比べ①:走り出しの感触
藤井:
「595はクラッチ踏んだ瞬間から“始まるぞ”って気がしますよね。500eはアクセルだけでスッと出るけど、“あれ、もう動いてる”って感じで、最初は拍子抜けした。でも、トルクの立ち上がりが爆発的で、“これはこれで危険だな”って(笑)」
小池:
「私はむしろ“気を使わずに乗れるアバルト”って感覚が新鮮でした。595は常に気合が必要だったけど、500eは朝のスーパーの往復すら楽しい。音がなくても、踏んだ瞬間に“グッ”とくる加速は健在です。」
■ 乗り比べ②:音と感情のリンク
藤井:
「レコードモンツァ(595のマフラー)の“バリバリ音”を聞くと、無条件にアドレナリン出ますからね。それと比べたら500eは“サイレントモード”すぎると思ったけど、サウンドジェネレーターが意外とよくできてて…慣れると楽しいです。」
小池:
「500eのあの電子的な咆哮、最初は“なんちゃって音”に感じたけど、BGMというより“キャラクター性”として愛着が湧いてくるんですよね。夜の首都高であれ聞くと、“未来のアバルト”って感じします。」
■ 乗り比べ③:ワインディングでの感触
藤井:
「峠なら595ですね。FFだけどリアが活きるし、音とギア操作がセットでドライバーのテンションを上げてくれる。500eは速いけど、重さがあるし、“制御の範囲内で遊んでる感”は否めない。」
小池:
「わかる。500eは“速さに守られてる感じ”。595は“自分が攻めてる感”が強い。だから上手くなった気になれる(笑)」
■ 結論:どちらが“アバルトらしい”?
藤井:
「595は“感覚を刺激するアバルト”、500eは“生活の中で楽しめるアバルト”。どっちも“魂”はあるけど、使い分けるのが正解ですね。」
小池:
「昔の595が“毒を盛るアバルト”なら、500eは“じんわり効いてくるアロマのようなアバルト”。どっちが好きかは…その日の気分です!」
■ 総評:アバルトという“感情の装置”は、電動化してもなお健在
595と500eは、見た目が似ていてもまったく異なる体験を提供する。
だが共通しているのは、**「日常をちょっとドラマチックにしてくれる」**という点だ。
595は、五感で操るアバルト。
500eは、都市で滑るアバルト。
そしてどちらも、ドライバーに**“自分だけの物語”を与えてくれる車**である。
連載目次:小さな毒蛇の咆哮 ― アバルト595の進化と魂
【第1回】アバルトの起源と“チューンド500”の誕生
【第2回】ブランドの消滅と復活への胎動(1980〜2000年代)
【第3回】2008年、アバルト595として復活
【第4回】特別仕様車と“イタリア流ホットハッチ”の確立
【第5回】EV時代を前に、小さな咆哮はどこへ向かう?
【番外編1】アバルト595 オーナーのリアルボイス
【番外編2】アバルト595 サーキット仕様オーナーの声
【番外編3】アバルト595 vs アバルト500e 乗り比べオーナー対談
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