禁断の世界に足を踏み入れている感じがたまらない

先日、ロードスターNR-Aで筑波サーキットのジムカーナ広場でドリフトを楽しんできた。イベントの内容としては、クローズドコースに散水車で水を撒き、クルマを滑らせてドリフトを楽しむというものだ。
やはり参加車両はFRの国産車が多く、AE86、シルビア、スープラなどが目立っていた。
今年2月、ロードスターNR-Aで女神湖の氷上走行会に参加したことは以前にも書いた。そのとき、「これは面白いな。またやりたいな」と思っていたのだが、氷上走行は冬だけのイベントだ。そんなタイミングで今回のイベント開催を知り、参加したわけである。
今回もロードスター仲間から声をかけてもらってイベントの存在を知った。仲間たちと参加する予定だったが、結局みんな都合がつかなくなり、僕ひとりで行くことになった。
正直、心細い。
ただ、ドリフトの講師がレーサーの後輩である蘓武君だったので、「彼がいるなら大丈夫か」と気がラクになった。実際に親切にしてくれた。
ただひたすら定常円旋回を楽しむ

会場にはパイロンコースと定常円旋回コースが用意されていた。しかし僕の性分では、パイロンコースを走ると、どうしてもタイムを上げたくなってしまう。そうなると結局、滑らせないように走ってしまうので、今回はひたすら定常円旋回を楽しむことにした。
僕が主戦場としてきたサーキットでのレースでも、もちろんクルマをスライドさせる場面はある。しかしタイヤが盛大に滑るとタイムが落ちるので、その手前の“わずかに滑っている領域”を使い、大袈裟にはスライドさせないのが速く走るためのセオリーとなる。
だから今回の定常円旋回ドリフトが、レースの練習として役立つのかは正直よく分からない。僕としては、あくまでも遊びとして捉えている。
その感覚は普段のレースとはかなり違う。
サーキットではタイヤのグリップ限界を探りながら操作するが、今回は最初からアクセルをガツンと踏み込み、一気にテールスライドを誘発する。これが、なかなか体に染み込んだ感覚と違う。
最初はかなり戸惑った。
1速でパイロンの周りをぐるぐる回るのだが、自分の目も回る。
そして、クルマまで目を回したようだった。
しばらく走っていると、ABSのエラーメッセージが点灯するのだ。エンジンを切って再始動したら元に戻ったが、メーカーとしては当然こんな使い方を想定していないのだろう。
背徳感を感じ毎回ゾクゾクしながら走った

ドリフトで腕を磨き、レースの世界へ進んでいくドライバーもいる。しかし僕はフォーミュラから入った人間なので、タイヤの限界を大幅に超えて走ることに、どうしても抵抗感がある。
だからこそ、今回のような体験は独特だ。
自分が踏み込んでこなかった“禁断の世界”に足を踏み入れているような感覚というか、背徳感というか。
毎回ゾクゾクしながら走っていた。
背徳感のもうひとつは、タイヤを「減らしている」「イジめている」という感覚が強いからだろう。
散水車が水を撒いているのだが、参加者が次々に走るので、順番が後ろになると路面が乾いてくる。すると、かなりドライに近い状態で円旋回をするケースもある。
タイヤを痛めつけている感覚が強い

今回、ちょうどレース用タイヤの皮むきにもなるかなと思い、新品のポテンザ アドレナリン RE004で参加した。しかし結果的には、可哀そうなことをした気がする。
氷上走行ではつるつるに滑る路面を走るので、スタッドレスタイヤも減らず罪悪感はなかった。しかし今回は水を撒いたとはいえ舗装路だ。
サーキットでもタイヤは減る。
だが、ドリフトの場合は「タイヤが減る」ではなく、「タイヤを減らしている」という感覚が強いのだ。
「ああ、タイヤを痛めつけているなぁ……」という感覚。
次回は、減ったタイヤで参加したいと思う。
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