筑波で分かったBYDシールの“思想”。なぜ力を徐々に抜くのか……リーフとの制御思想の違いとは?

  • 太田哲也
2026.04.21

サーキットで走らせると、クルマの本性が見える。

BYDシールは速い。

だが、踏み続けると静かに力を抜いていく。

今回は、その理由を確かめるために筑波で連続周回を行った。

純正ブレーキは公道重視のセッティング

先日、BYDシールで筑波サーキットを本格的に走ってきた。

シールは2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに選出された1台で、以前に試乗してその速さに感動した。それで今回は筑波サーキットに持ち込んで、タイムアタック的なスポーツ走行を試してみた。

まず純正ブレーキパッドに関して。当然だが、サーキット向けではなく、公道での扱いやすさを重視したセッティングで、10周ほどで摩材が厳しくなり、ストッピングパワーも落ちてきた。

連続周回で見えてくる熱マネジメントの領域

そこで後日、TEZZOで開発した耐熱性の高いブレーキパッドを装着して再度コースインしてみた。

ブレーキのタレは解消され、フィーリングも良好だった。

だが、今度は別の領域が見えてくる。

ブレーキが安定したことで、コーナーを攻めた走りが出来るようになった。それだけアクセル全開量が増え、ペースが上がる。以前よりも早くバッテリー温度が上昇し、パワーが早めに絞られ始めた。周回を重ねるごとにストレートの伸びが鈍くなり、立ち上がりの加速も明らかに重くなる。

ラップタイムも、それに合わせて落ちていく。

リーフとシール、それぞれの制御思想の違い

かつて走らせた日産リーフは、バッテリー温度が約52℃に達するとセーフモードに入り、パワーもラップタイムも一気に落ちる。

それに対してシールは、限界に近づくと段階的に出力を絞っていく。

急激に落とすのではなく、静かに力を抜いていく制御だ。

この違いは単なる性能差ではなく、制御思想の違いといえるだろう。

出力制御に表れるEVの設計思想

シールはスポーツカーではない。

サーキット用のクルマでもない。

だから限界に近づくと、クルマは走りを優先するのではなく、自らを守るために出力を制御する。セーフモードという形でドライバーに「ここまでだ」と伝えてくる仕組みだ。

無理をさせない。壊さない。
そうした前提で作られている。

これは欠点ではない。
むしろ公道で使うクルマとしては、正しい制御だと思う。

サーキットで浮かび上がるクルマの思想

ただ、サーキットで求められるのは、限界まで攻め続けられることだ。

走りを優先するか、壊さないことを優先するか。

その思想の違いが、サーキットでははっきりと表れる。

EVは速い。

しかし“速さを維持する思想”は、まだ内燃機関にはやはり及ばないのだった。

▽その他のBYDシールの記事もご一緒にどうぞ
BYD シールAWD/テスラ モデル3パフォーマンス/ヒョンデ アイオニック 5 N、次世代EVスポーツカー3台を比較試乗! “走る喜び”をEVでも体験できる時代が到来か!?

BYD シール:EVの常識を覆すスポーツセダン