サーキットで走らせると、クルマの本性が見える。
BYDシールは速い。
だが、踏み続けると静かに力を抜いていく。
今回は、その理由を確かめるために筑波で連続周回を行った。
純正ブレーキは公道重視のセッティング
先日、BYDシールで筑波サーキットを本格的に走ってきた。
シールは2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに選出された1台で、以前に試乗してその速さに感動した。それで今回は筑波サーキットに持ち込んで、タイムアタック的なスポーツ走行を試してみた。
まず純正ブレーキパッドに関して。当然だが、サーキット向けではなく、公道での扱いやすさを重視したセッティングで、10周ほどで摩材が厳しくなり、ストッピングパワーも落ちてきた。
連続周回で見えてくる熱マネジメントの領域
そこで後日、TEZZOで開発した耐熱性の高いブレーキパッドを装着して再度コースインしてみた。
ブレーキのタレは解消され、フィーリングも良好だった。
だが、今度は別の領域が見えてくる。
ブレーキが安定したことで、コーナーを攻めた走りが出来るようになった。それだけアクセル全開量が増え、ペースが上がる。以前よりも早くバッテリー温度が上昇し、パワーが早めに絞られ始めた。周回を重ねるごとにストレートの伸びが鈍くなり、立ち上がりの加速も明らかに重くなる。
ラップタイムも、それに合わせて落ちていく。
リーフとシール、それぞれの制御思想の違い
かつて走らせた日産リーフは、バッテリー温度が約52℃に達するとセーフモードに入り、パワーもラップタイムも一気に落ちる。
それに対してシールは、限界に近づくと段階的に出力を絞っていく。
急激に落とすのではなく、静かに力を抜いていく制御だ。
この違いは単なる性能差ではなく、制御思想の違いといえるだろう。
出力制御に表れるEVの設計思想
シールはスポーツカーではない。
サーキット用のクルマでもない。
だから限界に近づくと、クルマは走りを優先するのではなく、自らを守るために出力を制御する。セーフモードという形でドライバーに「ここまでだ」と伝えてくる仕組みだ。
無理をさせない。壊さない。
そうした前提で作られている。
これは欠点ではない。
むしろ公道で使うクルマとしては、正しい制御だと思う。
サーキットで浮かび上がるクルマの思想
ただ、サーキットで求められるのは、限界まで攻め続けられることだ。
走りを優先するか、壊さないことを優先するか。
その思想の違いが、サーキットでははっきりと表れる。
EVは速い。
しかし“速さを維持する思想”は、まだ内燃機関にはやはり及ばないのだった。
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