ヘリテージ再解釈の時代|VW ID.BuzzのCOTY受賞とホンダ プレリュードが示す現代クーペの価値

  • 太田哲也
2026.01.04

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー デザイン部門考察

高桑:デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーはフォルクスワーゲン ID.Buzzが受賞しました。授賞理由をチェックしてみたら、このようなことが書いてありました。
「いまなお色褪せない人気を誇るワーゲンバス(Type 2)のヘリテージを受け継ぎ、それを現代的に解釈した ID.Buzz のエクステリアデザインは、ひと目でわかる強い個性を備えながら、誰にでも懐かしさと愛らしさを感じさせる魅力を放っています。テクノロジー優先で無機質になりがちな時代において、自動車にはエモーショナルな価値が不可欠であることを改めて示した意義は大きく、その存在はデザインのあり方に新たな視点を投げかけました」。
……でも、太田さんはホンダ プレリュード推しでしたね。

太田:僕がデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーにプレリュードを推した最大の理由は、このクルマが単なる復刻やノスタルジーにとどまらず、「スポーツクーペという存在を、現代の価値観で再設計した」点にあります。ミニバン、SUV、軽自動車が主流となった時代に、2ドアクーペをあえて投入したホンダの姿勢には、クルマに乗る意味そのものを、私たちに、そして他ならぬホンダ自身に対してもにも、もう一度問い直す意志を感じます。
そして、このクルマのデザインの特徴は、スポーツクーペでありながらこれみよがしではなく、大上段に構えないところです。造形を誇張せず、自然体のプロポーションで美しさを表現しています。その控えめさが、むしろ存在感につながっているといえるでしょう。

太田哲也がホンダ プレリュードを推した理由とヘリテージの復権

高桑:勉強になります!

太田:低く水平に伸びるボンネット、静かな張りのあるフェンダー、後方へ視線を導く伸びやかなルーフライン。どれも奇抜さを狙っていないのに、ハイブリッドパワートレーンと調和する“静かで上質な緊張感”が、現代のクーペらしさを形づくっています。
インテリアも同じ哲学でまとめられており、派手な演出はありませんが、運転姿勢の収まりの良さや情報の整理されたメーターなど、「運転を心地よくする」デザインが重ねられています。日常にすっと溶け込みながら、そっと気分を押し上げてくれる空気がありますね。
そんな観点から僕は2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーのデザイン部門にホンダ プレリュードを推しました。奇しくも実際にデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したフォルクスワーゲン ID.Buzzもプレリュードと同様にヘリテイジの再解釈だったのが興味深いですね。

高桑:たしかに! 最新モデルが過去モデルをオマージュする流れは、今後も出てきそうです。

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