注目機能:新型マツダ ロードスター、DSC-TRACKモード搭載! 自由か?安定か? “電子制御ジレンマ”の先に見えるもの
2025.05.05
従来のDSCとの違い──なぜTRACKモードが必要だったのか?
サーキットでの“速さ”と“安全”を両立するという難題に、ついにマツダが一つの答えを出した。それが、新型ロードスターに搭載された新制御モード「DSC-TRACK」である。
単なる電子制御の技術的な話ではない。僕のように、限界ギリギリ走行を求めるドライバーにとっては「どこまでクルマが滑っても大丈夫か?」という感覚の話であり、いわばクルマとドライバーの信頼関係の再構築とも言える。
従来、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)はオン/オフの二択。DSCオンではタイムが出ない。オフではリスクが高すぎる——という悩みを抱えていたロードスターオーナーたちに朗報なのが、このDSC-TRACKモードである。
サーキット走行において、通常のDSCよりも横滑りを許容するセッティングとなっており、多少のスライドは許してくれる。が、スピンしそうなところで的確にブレーキ&エンジン出力制御を入れてくれるのだからありがたい。たとえば筑波の80Rのような高速左コーナーで雨天時は、突然後輪が滑りやしないか、どきどきしながら踏んでいる。でもそれを防いでくれる装置だ。
しかもこのモード、スムーズな操作を心がければ、介入を感じさせないほど自然。まるで“敏腕ドライバー”の教官が助手席で介助してくれるような安心感がある。
素で走る自由と、制御される安心──僕が悩む理由
とはいえ、精神面から捉えると、ロードスターは“素”で走れること、つまり電子制御が完全に切れることが信条でもある。DSCを完全オフにすれば、挙動はすべて自分次第。そうなるとドライバーの技量差が如実にタイムに現れ、まさに技術比べの世界だ。
僕自身も「速く走る」よりも、「自分の感覚をどこまで研ぎ澄ませられるか」「精神面も含めてどこまで成長できるか」を求めて走っているクチなので、このDSC-TRACKを使うべきかどうか、ちょっと悩ましい。
成長機会を奪われたくない一方で、雨の日にはありがたくも思う——まさに“電子制御ジレンマ”である。
実際の操作方法と注意点:DSC-TRACKモードの使い方
さて、使い方だが、停車中にDSC-TRACKスイッチを長押し(音が鳴るまで)することでモードが有効になる。メーター内に「DSC-TRACK」および「DSC OFF」の表示灯が点灯すればOK。
ただし、10秒以上押し続けると制御系がエラーモードになってしまい、強制的に通常のDSCがオンになる。これがまた絶妙な“罠”で、僕も最初はやらかした(苦笑)。その場合は一度電源オフ→再始動で復帰可能だ。
DSC-TRACK vs 完全オフ、どちらが速い?実走テスト予定!
DSC完全オフ派のドライバーにもぜひ試してほしい。実際、少雨時のコースでは、DSC-TRACKの方がタイムが出る可能性すらある。特に初心者は「いきなりオフ」は勇気がいるが、TRACKモードなら“守られているけど、自由もある”という絶妙なラインを攻められる。
DSCオフ vs DSC-TRACKモード、どちらが速いか? どちらが楽しいか? とくに雨だとどのくらいのマージンがあるのか。それは今後の雨のサーキット実走で確かめていく予定だが、ひとつ言えるのは——
「ロードスターは、進化している」ということ。
さあ、次は君の番、雨の日でも、攻める準備はできてるかい?
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