ドライビングスタイルの違いとは? フェラーリF40と筑波サーキットで見えた“日本人vsヨーロッパ人”の走り方

2025.08.15

日本人スタイルとヨーロッパ人スタイルの違いとは?

現役時代、長年プロとしてサーキットを走ってきて気づいたことがある。ドライビングスタイルには、大きく分けて2つあるということだ。

ひとつは“日本人スタイル”。日本のサーキットの特徴は、整備されて滑らかなハイグリップな路面だ。こうした状況では限界ぎりぎりを狙って、微妙なアクセルコントロールを駆使した走り方が有効だ。それにはいかに繊細にアクセルを微調整するかが勝負になる。

そしてもうひとつが、“ヨーロッパ人スタイル”。ギャップがあったり、ミュー(路面摩擦)が低いサーキットが多いヨーロッパのサーキットでは、アクセルは一定のまま、ステアリングの細かな操作で姿勢をコントロールする走り方が主流になる。滑っても踏み続けるという文化だ。

ジャン・アレジやミカ・サロ、ジョニー・ハーバートのような優れたドライバーでも、日本のレース一年目では苦戦した理由もこの違いにあると思っている。

フェラーリF40で学んだ“アクセル一定”走法とパワードリフトの理論

かつて僕がル・マン24時間でドライブしたフェラーリ F40GTEは、ターボブーストがかかるタイミングが実にピーキーだった。コーナー途中でターボが強く効いてしまうと、スピンまっしぐらになる。だからと言って、向きが変わってからアクセルを入れたのでは、ターボラグで加速しない。

だから、コーナー進入の初期からブーストをかけておき、かけ過ぎだと思っても極力アクセルを戻さずに、パワースライド気味にして、ステアリングでコントロールして曲げていく。ラリーのように、“パワードリフト”で抜けるスタイルだ。路面グリップが一定でないサーキットやターボラグのあるクルマでは、このヨーロッパ的スタイルのほうが理にかなっている。

筑波サーキットと袖ヶ浦フォレストレースウェイでスタイルを使い分ける

僕は元々日本人スタイルで走っていたが、ヨーロッパのサーキットをフェラーリで走るようになり、自然とヨーロッパ流が身についた。

でも、日本のサーキットでは使い分けるべきだ。たとえば、袖ヶ浦フォレストレースウェイは、日本には珍しいタイプのサーキットだ。カントのないコーナーや滑りやすい路面が多く、ヨーロッパ的な要素も併せ持つ。ここではアクセル一定&ステアリング操作中心の走りでも通用する。

ところがロードスター・パーティレースの主戦場となる筑波サーキットでは、きれいに路面が整備され、ミューも高く、またコーナーごとにRが明確なので、日本人的ドライビングスタイルがしっくりくる。

それはわかってはいるのだが、悩ましいのは、今の僕は、右足が不自由で細かいアクセル操作ができないこと。右足にゴムひもを取りつけて、筋肉の代わりに伸縮させている。

踏み込むとゴムが伸び(踏み込みは自力でできる)、離すと反発力で足が戻る。これを使ってアクセル操作をしているのだが、微調整は難しい。だからどうしてもヨーロッパ人スタイルで走るしかない。

ドライビングスタイルは身体と環境とともに進化する

筑波のような日本人スタイル向きのコースでも、僕はゴムひもでアクセルを操作しているから、スタイルどうこうよりも身体とゴムとの相談になる。

そこで強さや反発力を変えたゴムひもをテストするなどして、微妙な右足の操作をできるよう、今後も“アクセルゴムのチューニング”は継続していくつもりだ。

なお、大谷翔平選手が行ったように、肘の靭帯再建に際して反対側の腕や脚の腱を移植するという方法(トミー・ジョン手術)もあれば、最近では人工靭帯と組み合わせたハイブリッド手術も注目されている。

そうした手術を行えば、アクセル操作に必要な機能を取り戻せるかもしれない。ただ年齢的にそこまでするか、と言う気持ちもある。

まあ、それも含めて僕の走り。

自分の身体と相談しながら、ベストなスタイルを探っていくのが今の僕のドライビングだ。

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