時を超えて、クルマの未来が浮かび上がる──オートモビル カウンシル2025 特別展示レポート
2025.05.17
オートモビル カウンシルで知るクルマの温故知新
【オートモビル カウンシル2025の記事はこちらからも】
オートモビル カウンシル2025では、開催10回目の記念企画として、日本の自動車メーカー各社が東京モーターショーに出展してきた過去のコンセプトカーを一堂に展示するという粋な企画が実施された。その名も「過去から見た未来」である。
トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱などが、それぞれ自社の歴史に残る未来志向のコンセプトモデルを出展。『ああ、こんなのあったな!』と思わず声が出る展示に、足を止める人が後を絶たなかった。中には、いま見ても古さを感じさせないデザインもあり、「当時の未来」が現代にじわりとにじみ出てくるのが面白い。
展示を通して浮かび上がったのは、日本の自動車メーカーが描いてきた未来像の多様さだ。あるメーカーは環境技術を、またあるメーカーはエモーショナルなスタイリングやドライビングプレジャーを追求してきた。それぞれが自社の理想とする未来に向けて模索し、挑戦を重ねてきたことがよくわかる。
この共通展示企画は、単なる懐古趣味の展示ではない。過去の視点を通じて、いま我々がどんな未来を目指しているのかを問い直す、まさに“未来考古学”のような試みであった。
WRC黄金時代を飾ったワークスマシンたち
また、特別企画「Golden Age of Rally in Japan 歴史を飾ったラリーカー展示」も内容が濃かった。イタリアの自動車業界とスイスの時計業界における重鎮であり、ラリードライバーとしても知られるジーノ・マカルーゾ氏。そのコレクションから、WRC黄金時代を彩った6台のラリーカーが日本に上陸した。
いずれも、かつて実戦を走った本物のワークスマシン。ランチア ストラトス HF、フィアット 131 アバルト、ランチア デルタ S4など、モータースポーツファンなら思わず目頭が熱くなるラインナップが揃った。
そしてこうした車両がただ展示されているだけでなく、歴史背景やドライバーの逸話までしっかり紹介されていた点も評価したい。例えば、ストラトスは、今の基準では“ホモロゲのために無理やり市販された暴れ馬”かもしれないが、当時はそれこそがメーカーの情熱の証だったのだ。
今回のオートモビル カウンシルは、単に名車を眺めてニヤニヤするイベントではない。歴史の上に積み重ねられた「未来への思考」を、静かに、しかし熱く再確認させてくれる時間だった。
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