予選2位から逆転優勝! 最後のレースで魅せた旧ロードスター NR-A(塩ビくん)の意地!
2025.05.15
新車のロードスター NR-Aに乗り換え……のはずが
マツダ ロードスターのモータースポーツベースグレードであるNR-Aを買い替え、その新型が来る。
そのデビュー戦のはずだったが、納車早々、不具合が見つかってしまい広島のマツダ本社へとUターン。まさかの「逆戻りスタート」になってしまった。
ところが、そこに救世主のように現れたのが関東マツダの剣持社長。元マツダ広報部時代は僕の担当でうちの会社まで試乗車を持ってきてくれたこともある。彼がマツダ広報部に話して、なんと白いNR-Aの広報車を貸してくれることとなった。
せっかくの広報車だがレースには使えなかった
しかし話はそううまくはいかなかった。僕の右足は、過去のレースアクシデントの後遺症でペダル操作がおぼつかない。これまで使用してきた塩ビ色のNR-Aはペダル位置や高さを調整してなんとかヒールアンドトウができるようにしてはいたが、広報車はノーマル。当然、ペダル位置も純正で、足の動きが悪い僕の右足では太刀打ちできなかった。広報車を自分用に改造するわけにもいかないし。それで練習走行で無理して乗ったら、ぎっくり腰になってしまった……。
レースにはすでにエントリーしている。僕の元に残っていたのは、ずっと乗ってきた塩ビくん(NR-A)。実はこのクルマ、すでに「買いたい」という人が現れていたこともあり、「もうこの個体でレースに出るのはやめておこう」と思っていた。
結局、予定変更で再び塩ビNR-Aにスイッチ。そうして迎えたのが、4月17日の筑波サーキットで開催された「ビースポーツ・ロードスター・マスターズ」だ。
予選2位、その裏にあった“空気圧の罠”
体力温存のため、事前の練習走行はせず、予選は一発勝負。一周目にベストタイムが出ることを想定して、空気圧を上げてコースインした。
だが想定以上の暑さで空気圧も上がりすぎたようで、結果は2位だった(空気圧のせいではなく実力かも)。ポールポジションは、いつもバトルを繰り広げるライバルのM40クラスの小野選手だ。
決勝、手に汗握るバトル。最後にまさかのトレッド剥離
決勝はローリングスタート。序盤がチャンスと予想して、空気圧高めでスタート。小野選手から離れないようにして背後にぴったりつける。
1周目が終わり、2周目の第二ヘアピンでインを突くふりをする。小野選手はブロックラインでインを閉める。その結果立ち上がりでは背後にピタリつけることができた。
バックストレートから高速・最終コーナーへ。イン側から詰め寄り、ホームストレートを抜け、第一コーナでインから横並びに、そしてパス、ついに先頭へ!
ここまでは最高の展開だったが……最後にまさかのトレッド剥離
その後、空気圧はさらに上がり、グリップが抜け気味に。背後にピッタリと小野選手が迫る。おそらく空気圧低めにして後半勝負に設定したのだろう。鬼の形相で迫ってくる。
そして残り二周目、我が塩ビNR-Aが突然のグリップダウン。このときフロントタイヤのトレッドゴムが剥離を始めていたのだった。まだ持つだろうと思って減ったタイヤを使ったことが裏目に出たのだ。
「やばい、抜かれる、抜かれてしまう」と思ったところで、なぜか小野選手が離れる。これに救われる形でチェッカーを受けることができた。ちなみに小野選手は、富士スピードウェイ主催のロードスターレースでも優勝経験ありの手練れ。実はぎっくり腰気味だったそうで、そこに救われたのかも。
そんな彼とのバトルは、クリーンでジェントルな攻防戦だった。だからこそ抜くのが難しい筑波でも気持ちよく仕掛けられたのだ。終わってみれば、笑顔。レースを振り返っての選手たち同士の談義が盛り上がる。順位うんぬんではなく、走り終えた後の選手たちの笑顔が、このイベントの最大の魅力なのだ。
塩ビ色NR-Aとの別れ、次のオーナーに可愛がってもらいな
今回で塩ビ色NR-Aは最後のレース。購入希望の人も、わざわざ有給を取って筑波サーキットまで応援に来てくれていた。そんなラストランで勝利を飾れたことは、まさに“有終の美”。
塩ビ色くんのあの走りが、次のオーナーへのプレゼントになれば嬉しい。
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