ロードスターの軌跡【第5回】「これからのロードスター:ND後期、そしてNE型へ?」
2025.04.11
2015年に登場したND型ロードスターは、2023年時点でもなお現行モデルとして販売されており、マイナーチェンジを経て熟成が進んでいる。ロードスターは今も“人馬一体”の哲学を守り続けながら、次の時代を見据えて動き出している。
● ND後期型の改良と進化
2022年以降、ND型は走行性能と利便性をさらに磨くべく、ソフトウェア制御の変更やサスペンションのセッティング見直しが行われた。とくに注目すべきは「KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)」と呼ばれる制御技術で、旋回中のロールを抑え、より安定したコーナリングを実現。
また、インフォテインメントシステムや安全装備も現代の基準に合わせてアップデートされ、日常使いでも不満のない快適性を備えるようになった。
● 電動化時代への橋渡し
一方で、EVやハイブリッド車が主流となりつつある今、ロードスターの存在価値が問われる局面に差し掛かっている。マツダは「小型軽量で操る楽しさ」を失わずに、どのように電動化と両立させるかという難題に挑んでいる。
マツダはすでに「NE型」につながる開発プロジェクトを進行中との噂もあり、BEV(バッテリーEV)やレンジエクステンダー、あるいは軽量なハイブリッドなど、複数のアプローチが模索されていると言われている。
● ロードスターという文化
ロードスターは単なる1車種を超え、「運転を楽しむ」という文化の象徴となってきた。その証拠に、世界中で開催されるオーナーズミーティングやワンメイクレース、そしてSNSを通じたファン同士の交流は、世代を超えて広がっている。
マツダはその声に耳を傾けながら、エンジニアとユーザーが共に育ててきたこのクルマを、次世代にも残そうとしている。たとえ動力源が変わっても、“人馬一体”の魂を受け継いだロードスターは、きっとまた世界中のドライバーを笑顔にしてくれるに違いない。
これにて全5回の連載「マツダ・ロードスター 進化の軌跡」は完結です。開発の裏側にある情熱と、時代に応じた進化、そして変わらぬ信念。その歩みは、今後も続いていく物語の序章なのかもしれません。
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