ロードスターの軌跡【第4回】「原点回帰と未来志向:ロードスターNDの革新」
2025.04.11
2015年、ロードスターは4代目となるND型へとフルモデルチェンジを果たす。このモデルのキーワードは「原点回帰」と「革新の融合」。かつてのライトウェイトスポーツの哲学を取り戻しつつ、現代の技術と安全性、デザインを高次元で融合させた傑作だ。
● “引き算の美学”で徹底した軽量化
ND型の開発において、最大の焦点は「軽さの再定義」だった。NC型で増加した車重を見直し、NDでは約100kgの軽量化に成功。車両重量は約990kg(グレードにより異なる)まで絞り込まれた。
ボディはスカイアクティブ・シャシーを採用し、ねじり剛性を維持しながらも軽量化を実現。また、ドライバー視点での運転感覚を研ぎ澄ませるべく、シート位置やペダルレイアウトも最適化された。
● KODOデザインと現代の造形美
ND型のスタイリングは、マツダの「魂動(KODO)デザイン」を全面的に採用。伸びやかなボンネットと絞り込まれたリア、低く構えたプロポーションは、歴代ロードスターの中でもひときわアグレッシブかつ優雅な印象を与える。
一方で、ヘッドライトやフェンダー形状には初代NAのオマージュも感じられ、“新しさ”と“懐かしさ”が絶妙なバランスで同居している。
● スカイアクティブ技術と走りの洗練
パワートレインには、1.5Lと2.0Lのスカイアクティブ-Gエンジンが搭載され、軽量ボディと相まって俊敏な走りを実現。ステアリングは電動化されつつも自然な操舵感を持ち、足回りもストローク感を重視したチューニングが施された。
また、マイナーチェンジごとに改良が重ねられ、2018年には2.0Lモデルが大幅にパワーアップ(最大出力184ps)し、高回転型エンジンの魅力を強化。ND型は“育てられる”ロードスターとして、商品力を高めていった。
● グローバル戦略と未来への布石
ND型は、これまで以上にグローバル市場を重視して開発されたモデルでもある。海外メディアからの評価も極めて高く、軽さと楽しさの融合は世界中のスポーツカーファンを魅了した。
さらにマツダはND型をベースに、アバルト124スパイダーやCUPカーなどの派生モデルも展開し、ロードスターの可能性をさらに広げた。
次回はいよいよ連載の最終回として、ND後期型の進化と、次世代モデル(NE型?)に向けたマツダのビジョン、そして“人馬一体”の未来について探ります。
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