ロードスターの軌跡【第2回】「進化と継承:ロードスターNBとNAの影」
2025.04.11
1998年、ロードスターは初のフルモデルチェンジを迎え、NB型へと進化を遂げた。外観からは大きな変化を感じないが、実は細部にわたる見直しと技術進化が施されていた。
● デザインの刷新と安全性の向上
最大の変更点は、リトラクタブル・ヘッドライトの廃止だ。歩行者保護と衝突安全基準の強化により、固定式ライトへと切り替わったが、それでも丸みを帯びたフロントフェイスとコンパクトなボディはNA型の雰囲気を色濃く残していた。
インテリアも質感が向上し、メーターやスイッチ類の配置も見直された。全体的に“大人のロードスター”という印象へと変化している。
● パワートレインの熟成と走行性能の進化
搭載されるエンジンは、NA後期型に採用されていたBP-ZE型1.8L直4を継続しつつ、細かな改良を加えることでレスポンスと耐久性が向上。トルセン式LSDやビルシュタイン製ショックアブソーバーを採用したスポーツグレードも設定され、サーキット走行やジムカーナといった競技志向のファンにも応えた。
ボディ剛性も向上し、より正確なステアリングフィールと安定した挙動が実現。軽さと運動性能のバランスをさらに高次元で融合した一台となっていた。
● モータースポーツとユーザーの声
NB型は、NA型以上に積極的にモータースポーツへの活用が進められ、ワンメイクレースやアマチュア競技でも人気を博した。とくに「ロードスター・パーティレース」などは、ファン同士の交流の場としても機能した。
一方で、NAの“純粋さ”を好むユーザーからは「快適になりすぎた」との声も上がったのも事実。それでも、マツダは時代に即した改良を重ねながら、初代のDNAを守ろうとしていた姿勢が見える。
次回は、ロードスターの方向性に大きな変化をもたらした「NC型」が、なぜ“大きく、重く”なったのか、そしてそれが意味するものとは何かを掘り下げていきます。第3回へ
ロードスターの軌跡 連載一覧
【第1回】「“人馬一体”の原点:初代ロードスター(NA型)誕生秘話」
【第2回】「進化と継承:ロードスターNBとNAの影」
【第3回】「第三の挑戦:ロードスターNC、重量化と格闘するロードスター」
【第4回】「原点回帰と未来志向:ロードスターNDの革新」
【第5回】「これからのロードスター:ND後期、そしてNE型へ?」
【番外編】「異国で生まれた兄弟車──アバルト124スパイダーの光と影」
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