ヒョンデ アイオニック 5N：電動ハイパフォーマンスをサーキットで体感する
2025.01.05
2024-2025 日本 カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストモデル「ヒョンデ アイオニック 5N」
昨年の11月17日、千葉県の「THE MAGARIGAWA CLUB」でヒョンデ アイオニック5Nのオーナーズミーティングが開催された。僕はオーナーではないが、試乗のお誘いを受けて参加してきた（※本記事の写真は4月に袖ケ浦フォレストレースウェイで開催された試乗会のものです）。
ヒョンデの「N」は、メルセデス・ベンツの「AMG」、BMWの「M」、レクサスの「F」に相当するハイパフォーマンスモデル。今回のイベントでは、5Nのオーナーがそのポテンシャルを余すことなく楽しめる充実のコンテンツが用意されていた。
アイオニック5Nの世界を堪能
イベントでは、オーナーたちが自らの愛車でローンチスタート体験やサーキット走行を楽しむだけでなく、ヒョンデ側が用意した車両とプロドライバー運転による「サーキットタクシー」や、試乗も体験できた。
さらに、パイクスピーク参戦車両のアイオニック5Nが展示されるなど、電動ハイパフォーマンスの世界を存分に知れる内容だった。
僕もまずはサーキットタクシーを助手席で堪能。その後、できたばかりの高級会員制サーキットMAGARIGAWAサーキットをアイオニック5Nで自ら運転する機会を得た。
助手席に同乗したプロドライバーから「太田さんなら思い切り（アクセル）全開で走ってよいです」と言われ、うれしくも緊張する試乗だった。初めてのサーキット、650PS、時間の関係から4周のみ、緊張が走る。
650PSの電動モンスター、その驚きの速さ
ところが走り出してみると、実に運転がしやすいのだ。もちろんその加速はすさまじいが、ハードブレーキング時もブレーキの前後制動力バランスがよく、一気に強く踏める。
コーナリング中の挙動も穏やかで、タイヤが横滑りする際の滑り方が一気にブレイクするのではなく、グリップしながら滑っていくので扱いやすい。
スペックの見掛け倒しではなく、きちんとサーキットでテストして煮詰めたことがわかった。瞬間的にパワーが炸裂するスイッチも試したが、まさに異次元ワープ、現役時代のグループCカーを連想させられた。
圧倒的な速さとサーキットの記憶
アイオニック5Nはシステム最高出力が650PS。フロントモーターが238PS、リアモーターが412PS。電気モーターの性質上、ガソリンエンジン車と比べて低速での加速力が強いので、発進加速はすさまじい。
それでいて価格は858万円。ガソリンエンジン車で同等の速さを求めるなら予算は3,000万円を覚悟する必要がある。これを聞けば、EVスポーツの可能性に改めて期待する人もいるだろう。
これまで僕は「プリミティブなクルマこそ面白い」と考えていた。スポーツカーに求めるのは速さよりも純粋なドライビングの楽しさだと思っていたのだ。
だが、アイオニック5Nの圧倒的な速さを体感したことで、その考えを少し改めざるを得なくなった。
このクルマを運転して、やはり速さには速さなりの魅力があることを思い出していた。
アイオニック5Nの未来。モディファイの可能性
アイオニック5Nは、ただ速いだけではなく、サーキットでの使用も前提としている。
僕がプロデュースしているTEZZOでモディファイする可能性についても思いめぐらした。
さらなる性能向上や個性を引き出すことで、このクルマの楽しさをさらに広げられるのではないだろうか。
太田哲也の視点：EVに対する見方が変わるほどの魅力
アイオニック5Nは、電気自動車の新たな可能性を体現している。
サーキットでの楽しさ、驚異的な加速、そして価格以上の価値。それでいて一般路でも快適だ。このクルマが持つ魅力を一度体験すれば、きっとEVに対する見方が変わるはずだ。
ぜひ多くの人にそのポテンシャルを体感してみてほしい。
ヒョンデ アイオニック 5N
●全長×全幅×全高：4,715mm×1,940mm×1,625mm
●ホイールベース：3,000mm
●車両重量：2,210kg
●電動機（モーター）：交流同期電動機
●最高出力：FR 175kW/4,600-10,000rpm／RR 303kW(7,400-10,400rpm）
●最大トルク：FR 370N･m/0-4,000rpm／RR RR) 400Nm(0-7,200rpm）
●駆動用バッテリー：リチウムイオンバッテリー
●総電力量：84kWh
●トランスミッション：1速固定式
●サスペンション：前／マクファーソン式 後／マルチリンク式
●ブレーキ：前後／ベンチレーテッドディスク
車体価格 ¥8,580,000～
▽その他のヒョンデの記事もごいっしょにどうぞ。
・ヒョンデ アイオニック 5Nでレースしたい！
