アルファロメオ・ジュリアの軌跡【第4回】ジュリアの未来と電動化 ― “最後の純ガソリンFR”という誇り

2025.04.10

~フェイスリフトとステランティス体制で迎える転換期~

2022年モデル以降のフェイスリフト:変化は“細部”に宿る

2022年、アルファロメオ・ジュリアはマイナーチェンジを受け、内外装ともに“洗練”の方向へと進化した。

主な改良ポイント:

  • 新デザインのヘッドライト(「トナーレ」風3眼LED)
  • リアコンビネーションランプのダーク仕上げ
  • 最新インフォテインメント(12.3インチのデジタルクラスター)
  • ドライバーアシストの進化(ADAS Level 2)
  • デジタルメーターの搭載
  • 走行モード変更スイッチの高級感向上
  • シート素材の選択肢拡大(レザー・アルカンターラ)

ついに電動化へ:次世代ジュリアの行方

2024年、アルファロメオは公式に**「次期ジュリアは完全電動モデル(BEV)」となる方針を発表。
これはFCAとPSAが統合し誕生した「ステランティス」グループの中で、
“STLA Large”プラットフォーム**を採用した初のアルファロメオ・セダンとなる予定である。

STLA Largeの特徴:

  • 最大出力:最大800馬力クラスまで対応可能
  • 航続距離:最大700km
  • 800Vアーキテクチャによる急速充電対応
  • デジタル・エコシステムとの統合(OTAアップデート等)

ジュリアは今後、エンジン車から“BEVスポーツセダン”として再定義される。

STLAプラットフォーム×次期ジュリア 予測スペック

項目

現行モデル(クアドリフォリオ)

次期BEVジュリア(予想)

駆動方式

FR(2.9L V6ツインターボ)

AWD(デュアルモーター)

出力

510ps

最大800ps

0-100km/h

3.9秒

3秒前後(予想)

航続距離

最大700km

最後のピュアFR”としての現行ジュリア

次期ジュリアがEVとなる今、2024年時点で販売されている**現行モデルは「最後の内燃機関FRセダン」**として特別な価値を持つ。

特にクアドリフォリオ・モデルは以下のような存在意義を持つ:

  • “マニュアル感覚”を味わえるZF製8速AT
  • ESP完全オフ時でも楽しめるリヤ駆動特性
  • フェラーリと共同開発された内燃機関のエンジンサウンド

これは単なる過去の遺物ではなく、**“アナログとデジタルの境界線”に立つ最終進化形”**として記憶されるはずだ。

ブランド戦略の大転換:エモーショナル×デジタルの融合へ

アルファロメオは、トナーレ以降の戦略で以下のような価値観を打ち出している:

  • ドライビング・パッション”の継承
  • ゼロエミッションとエンゲージメントの両立
  • 車両とオーナーが常時接続する「デジタル・ブランド体験」

次期ジュリアは、まさにこの戦略を具現化する存在となる。

次回予告

次回最終回では、ジャーナリスト視点から「ジュリアとは何だったのか?」を総括し、オーナー体験や走行フィールを掘り下げて語ります。

【第5回(最終回):アルファロメオ・ジュリアという芸術 ― ドライバーズカーの真価】