現代F1は“職人”から“アスリート”へ|ドライバー像の進化と若手台頭の理由

  • 太田哲也
2026.04.27

F1GP見聞録:第3回「ピケは職人、マンセルは豪快。いまF1ドライバーはどう変わったのか」

今回の鈴鹿で、ドライバーの役割の変化も感じた。

予選は単走が多く、レーサー目線では高揚感は少なかった。
エンジン音も似ていて、違いは色だけ。完成されたマシンが普通に走っている印象だった。

昔は違った。

シケインで見たネルソン・ピケのシフトダウンは滑らかで、職人芸だった。
ナイジェル・マンセルは豪快だ。同じコーナーでも走りはまったく違った。

当時はマニュアルミッションで、操作そのものが技術で、経験が必要だった。

今は、タイヤはワンメイク、マシンはオートマチックで、オーバーレブの心配もない。

若い才能が花開くのはマシンの完成度ゆえか

セットアップもドライバー主導からエンジニア主導へ変わった。

今回優勝したキミ・アントネッリは19歳。
2戦連続ポール・トゥ・ウィン。

この若さが成立するのは、マシンの完成度が高いからだろう。

ドライバーに求められる能力も変わったのだと思う。
運動能力、瞬発力、判断力、記憶力。
ステアリングにはたくさんの操作スイッチがり、レース中にはその処理能力が重要となる。これを覚えるのは大変そうだ。

F1のカタチが変わってきたのを感じる

正直、僕が乗っても普通に走らせることはできそうな気がするが、あの操作は難しい。絶対に覚えられない。

若手ドライバーの活躍の裏には、シミュレーターの進化があるだろう。彼らは、トレーニングの一環というよりも、それ自体をゲーム感覚で楽しんでいるようだ。

職人が技を競う世界ではなく、
完成度の高いマシンを正確に扱う優れた処理能力アスリートが勝つ世界になった。

今回、鈴鹿を訪ねてみて、FIの形が、観客もドライバーもチームも確実に変わっていることを実感した。

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