スズキ フロンクス:無国籍なSUV、その素顔を覗く
2024.12.30
2024-2025 日本 カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストモデル「スズキ フロンクス」
「無国籍」。良い意味でこの一言で表現できるのが、スズキ フロンクス。
インドで生産されるグローバルカーだが、だからといって侮るなかれ。昔のタイ製の日産マーチとは明確に違う。
実際に日常の足として使ってみると「なるほど」と頷かせる工夫が散りばめられていた。
フロンクスのデザイン:無国籍感、それってアリ?
まず、エクステリア。
スズキのバッジがなければ、「いったいどこの国だろう」と思う人も多いだろう。逆に言えば「どこの国の道にも馴染む」親しみやすさとも言える。
このデザイン、もしかして「世界中のみんなで仲良くしよう」的なメッセージだったりして(?)。そんなことないか……。
それでもSUVらしい力強さとクーペの流れるようなフォルムを融合させたシルエットはなかなかのもの。
大型スーパーの駐車場に停めたときに目立ちはしないが、ハード過ぎないSUVテイストとクーペの流麗さを重ねたスタイリングで、振り返るたびに「ああ、なかなか自分ってセンスいいじゃないか」と思えるかも。
室内と走行性能:意外と快適、そして意外と楽しい
コンパクトSUVと聞くと、「室内狭そう」と思いがちだが、フロンクスに実際に座ってみると「コンパクトSUVって、どんだけ工夫してんの?」と驚くはずだ。ドリンクホルダーの配置やシートの形状など、実用性へのこだわりも感じられる。
走行性能も見逃せないポイントで、1.5リッター4気筒エンジン+6速オートマ+マイルドハイブリッドの組み合わせは、そこそこ静粛で発信加速もよく、とくに不満を感じる場面がなかった。
フロンクスの「華のなさ」に隠された戦略
正直、フロンクスの最大の特徴は、際立った「特徴」がないこと。でも、それもひとつの戦略だと気づいた。
無国籍感を逆手に取って、どこの国でも、どんなライフスタイルにも馴染むデザイン。派手さはないが、どこにいても溶け込める。
運転していても独特の「クセ」もなく誰にもなじむはず。“グローバルな優等生”だ。人間なら「ちょっと地味だけどいいヤツ」に該当する感じだ。
太田哲也の視点:フロンクス、必要な人には響く
日常のアシとして普通に頼りになるし、走っていて「そこそこ楽しい」と思わせてくれる。
ただ、ひとつだけ気になるのは、やっぱり華がないところだが、でも考えてみれば、派手で個性的ななクルマばかりがカーライフの全てじゃない。むしろ、日々の生活で使いやすいクルマこそが真の名車なのかもしれない。
スズキ フロンクス 4WD
●全長×全幅×全高:3,995mm×1,765mm×1,550mm
●ホイールベース:2,520mm
●車両重量:1,535kg
●エンジン:直列4気筒DOHC 16バルブ吸排気VVT
●排気量:1,460cc
●エンジン最高出力:73kW(99PS)6,000rpm
●エンジン最大トルク:134N・m/4,400rpm
●トランスミッション:6速AT
●電動モーター:直流同期電動機
●電動モーター最高出力:2.3kW(3.1PS)/800-1,500rpm
●電動モーター最大トルク:60N・m/100rpm
●駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
●駆動用バッテリー容量:6Ah
●使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
●タンク容量:37L
●サスペンション:前/マクファーソンストラット 後/トーションビーム
●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
車体価格: ¥2,541,000〜
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