フォルクスワーゲン Tクロス試乗! アウディよりオススメ? マジメなコンパクトSUVを徹底解説
2024.12.27
3年連続輸入SUVトップの実力とは?
先日、新型フォルクスワーゲン Tクロスの試乗会に参加してきた。ルートは川崎から横浜の大黒パーキングエリアまで。選んだのはFWD仕様の7速DSGモデルだ。
Tクロスという名前、正直なところ僕の中では印象が薄かった。それだけに「このクルマ、2020年から3年連続で輸入SUV登録台数ナンバーワンです」と聞いたときは驚いた。控えめに見えて、実はナンバーワン。まるで、職場でいつも地味に働いているけど実績が高い人材みたいな存在だ。
荷室容量455リットル(後席を倒せば1281リッター!)はこのクラスでは最大級。おまけに価格は329万9000円から。輸入車としてはかなりお手頃で、これが人気の理由なのだろう。
優等生ぶりがにじみ出るフォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンといえば、まず思い浮かぶのはゴルフだ。コンパクトカーのベンチマーク的な存在として、昔から現代まで日本車他メーカーの技術者からも常に注目されてきた。Tクロスも「ゴルフの影響を強く受けているだろうな」と予想していたが、実際に乗ってみると、予想通りの安定感。
ただ、背の高さゆえに若干の横揺れを感じる場面もあったが、それも「いやいや、このサイズのSUVでこれだけの操縦安定性を出しているのだから」と感心させられる。ボディ剛性が高く、足が正確に動いて地面を四輪でしっかりとらえている安心感があるのだ。
正直、「これはゴルフのSUV版だな」と思った。いや、最近のゴルフは大型化してきたので、「ポロのSUV版」という方がしっくりくるかもしれない。この「真面目さ」、まるで古い友人がずっと変わらずにいてくれるような安心感を覚えた。
フォルクスワーゲンの哲学:「下位グレードこそ買い」
フォルクスワーゲンのもう一つの魅力は、下位グレードモデルの完成度が非常に高いこと。日本車では、上位グレードにだけ最新技術を投入するケースが多いが、フォルクスワーゲンは違う。全グレードで同じ最新技術や安全技術を採用することで「技術のコストが下がる」という考え方をする。
だから下位グレードが狙い目なのだ。ポルシェやアウディよりもフォルクスワーゲンの方が圧倒的にコストパフォーマンスが高い。
あるアウディの方から聞いた話だが、「実はフォルクスワーゲンのエアバッグ採用数は(日本仕様の)アウディ以上の場合がある」のだそう。派手じゃないけど、信頼できる。それがフォルクスワーゲンの魅力だ。
Tクロスは日常使いに最適な「名脇役」
Tクロスを走らせてみて感じたのは、長距離ドライブでも疲れにくい設計だ。ボディ剛性の高さやタイヤの接地感が生み出す安定感はさすがフォルクスワーゲン、このクルマを一言で言うなら「背が高くなったゴルフ」……いや、「ポロのSUV版」かな。一言では語りきれない懐の深さがある。
誰かに「オススメの輸入車は何ですか?」と質問されたときに以前はゴルフだと回答していたが、いまは、コンパクトSUVだったらTクロス」と答えるのが正解だろう。
とはいえ、マジメかつ丁寧にクルマをつくり、効率化を追求していったらこういうものが完成しました的なTクロスは、特徴的なところがないのでそこはどうかな?いわば生徒会長も務める優等生。自分のキャラとはギャップがある。
我が家の足グルマとして活躍しているジープ コンパスは優等生的ではないので、そこがTクロスとは異なる部分だ。選ぶ人が違えばどちらがいいとは言い切れないので、クルマというのは面白い存在である。
フォルクスワーゲン Tクロスは、まじめすぎると思うかもしれません。でも、その性格の良さこそがTクロスの最大の武器。たとえるなら、白シャツのように何にでも合う存在です。「ゴルフ派」も「SUV派」も、ぜひ一度試乗してみて、その真面目さと実力を感じてみたらどうでしょう。
フォルクスワーゲン Tクロス TSI
●全長×全幅×全高:4,140mm×1,760mm×1,580mm
●ホイールベース:2,550mm
●車両重量:1,260kg
●エンジン:直列4気筒DOHC 4バルブ直噴ターボ
●排気量:999cc
●最高出力:85kW/5,500rpm
●最大トルク:200N・m/2,000-3,500rpm
●トランスミッション:7速DSG
●使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
●タンク容量:40L
●サスペンション:前/マクファーソンストラット 後/トレーリングアーム
●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
車体価格: ¥3,299,000〜
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