ルノー・トゥインゴでポルシェを感じる(所長:太田哲也)

2019.09.21

 新型トゥインゴに試乗した。ジョン・マンゴーという赤みがかったイエローのフランス製小型ハッチバックは、試乗地だったファッションブランドが林立する東京港区青山の街並みに似合っていた。エンジンは0.9リッターのターボで、2馬力のアップの92PS/5500rpm。前後バンパーの形状が変わり全長は20㎜ほど伸びた。

 女性ファッション誌に登場しそうな雰囲気を持つトゥインゴだが、クルマ好きならウキっとしてしまうのはRR(リアエンジン・後輪駆動)であること。ポルシェと同じレイアウトなのである。

 そもそもRRであることは、駆動輪に荷重がかかる大パワー車にとってトラクション性が向上するので有利であるが、実は街中でも有利な面がある。それは小回りが利くことだ。トゥインゴは小型サイズのわりにロングホイールの2490㎜でありながら、RRであることで前輪の可動域が大きくとれる。それにより最小回転半径は4.3mの軽自動車並み。狭い路地裏でもすいすい走れた。

 ちなみに販売台数においては、日本において同セグメントではフィアット500の人気が圧倒的で発売から時期が経つ2019年においても3割をキープ。VW UP!は20%、トゥインゴは13%に止まる。しかし本国フランスではトゥインゴのシェアは23%でフィアット500の14%を逆転する。
販売上のライバルであるフィアット500も元祖はRRだったが現在はFFである。トゥインゴの方がクルマ好きにはより本物感を持てるはずだ。運転して思うのは、切れ角の大きさによる路地での安心感に加えて、やはり後輪駆動(RR)であることから、とくに飛ばしていないのだが、カーブで後ろ脚で蹴って進む感覚の楽しさだ。この先、是非ともこのモデルをベースとしたスポーツモデルを出してほしいものだ。

スペック

【 ルノー トゥインゴ EDC 】

全長×全幅×全高 3,645×1,650×1,545mm
車両総重量          1,020kg
パワートレイン  ターボチャージャー付 直列3気筒DOHC12バルブ 897cc
使用燃料               無鉛プレミアムガソリン
最高出力               92ps/5,500rpm
最大トルク           13.8kg-m/2,500rpm
ギアボックス       6速EDC(エフィシエント デュアル クラッチ)
サスペンション 前:マクファーソン / コイル
        後:ド・デオン / コイル
ブレーキ    前:ベンチレーテッドディスク
        後:ドラム
タイヤサイズ  前:165/65R15
        後:185/60R15
燃料消費率             16.8km/L
価格      ¥1,986,000

取材・文/太田哲也(ラボ所長)