フェラーリや ポルシェは先鋭化され過ぎた

フェラーリは、今や296GTB、SF90、812といったハイパフォーマンスモデルがラインナップの主軸。対するポルシェ911も年々ボディサイズが拡大し、気がつけば“軽快なスポーツカー”というより、“高級GTカー”へと進化してしまった。
どちらも素晴らしいクルマであることに疑いはない。けれども、僕の中ではもう“気軽にサーキットを走る相棒”にはなり得なくなった。
たとえば、街乗りグレードのストラダーレやストリートモデルでさえ手が届きにくい価格帯だし、レース専用のマシンとなればなおさら。フェラーリ・チャレンジ・ジャパンやポルシェ・カレラカップ・ジャパンにフル参戦しようものなら、億単位の予算が必要になるだろう。走るたびに緊張しそうだ。
ロータスカップという選択肢

そんな時に、ちょうどよかったのが「LOTUS CUP JAPAN」だった。
もちろん、こちらも車両代やエントリーフィーは安くはない。けれども、フェラーリやポルシェのワンメイクレースと比較すれば、まだ“楽しめる範囲”のコスト感だった。
JAF (日本自動車連盟)公認、ロールケージも装着という安心感もあったし、電子デバイスも控え目、マシンとドライバーの「距離」が近く、感覚的なフィードバックに満ちていた。
コロナ禍とその少し前、僕はロータス エキシージ V6で2シーズン、LOTUS CUP JAPANに参戦した。
エキシージV6の魅力と実戦投入

何よりもちょうどよい。マツダ ロードスターの動力性能では物足りず、フェラーリ・チャレンジやカレラカップはコストが高すぎる。GR86 /BRZ Cup も検討したけれど、タイヤ代がかなりかさむようだ。そんな中で選んだのが、ロータス エキシージV6 によるLOTUS CUP JAPAN のエキシージクラスだった。
電動化が進む前の生産車だったロータス エキシージは、まさに“ピュアスポーツカー”の象徴。軽量なミッドシップでドライバーとの一体感に満ちた運転感。運転が難しいイメージがあるかもしれないが、実際はとっても運転がしやすい。
ウェット走行でも扱いやすく、ステアリングを切ればスッと鼻先が向きを変え、アクセルを踏めば背後からV6の咆哮が背中を押してくる――。走るたびに「楽しい」と心底思えた。
ロータスカップの終焉とエキシージの現在

だが、時代の波はロータスにも訪れた。
プレミアム・ブランドへの昇華を目指すというメーカーの方針のもと、エレクトリック化が加速し、2025年シーズンのLOTUS CUP JAPANは、ついに終了。大きな盛り上がりがないまま、ひっそりと終焉を迎えてしまった印象だ。レースではなく、サーキットでのスポーツ走行専用に使う手もあるが、一緒に走る同車種の仲間がいないとあまり楽しくないだろう。
それでもナンバー付きのエキシージV6だから、街乗りやサーキットの移動にも使える便利さがあり、普段使いもできる。しかしうちのやつはロールケージが入っているし助手席もない。普段乗りすることも考えたが、ロールケージを外すのももったいない気がする。
千葉のショップに保管していたこともあって、次第に“自分のクルマ”という実感が薄れていってしまった。だから最近、まったく乗っていなくて「それなら手放そうか」と考えるようにもなっている。
それでも、手放しがたい理由

とはいえ、ロータスが今後、オールエレクトリック・グローバル・ラグジュアリーブランドとして再定義されるなら、このV6を搭載した“最後のロータス”はいずれ価値を高めるかもしれない。
いやはや、悩ましい。
走るたびに高揚させてくれたこの一台。置いておくには惜しく、手放すには惜しい。ロータスらしさがまだ残っていたあの時代の空気ごと、このクルマは纏っているのだから。どうしようか。
ロータスのオーナー諸君、もしくはロータス エキシージ購入を考えている人、ぜひ一緒にサーキットを走ろうではないか。
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