レクサス LBXの試乗で受けた「違和感」の正体とは?

2024.12.31

2024-2025 日本 カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストモデル「レクサス LBX」

レクサス LBX。名前からして「高級感」を期待してしまうが、実際にはBセグメントのコンパクトクロスオーバーSUVだ。

正直に言えば、僕は「なんでまたレクサスがこの小さなサイズのクルマを?」と首をかしげてしまった。

高級車ブランドとして築き上げてきたレクサスのイメージに、コンパクトカーが果たしてマッチするのか。その背景と狙いを考えてみよう。

レクサス LBXはヤリス クロスの高級版?

LBXの開発には、トヨタのヤリス クロスと同じプラットフォームが使用されている。平たく言えば、「ヤリス クロスのレクサス版」だ。

これを聞いたとき、クルマ好きの僕としては「たとえばクラウン・シリーズの中にコンパクトクラウンが登場したらどうだろう?」と妄想してしまった。

クラウンユーザーだったら、「え、オレたちのクラウンは高級車専用ブランドではなかったの?」と違和感を覚えるのではないだろうか。

高級車ブランドがコンパクトSUVに挑戦した理由とは? 

レクサス LBXが誕生した背景には、フルラインナップを目指すトヨタのビジネス戦略があるのだろう。市場のニーズに応えるために、より手軽に購入できる「高級車」を提供するという考え方だ。「小さな高級車」的な発想は魅力的だし、ビジネスとしては理解できる。

ただ、ここで気になるのがブランドの方向性だ。レクサスは長年、高級車としてのイメージを一生懸命育ててきた。なかなか、とくに欧州市場では認知されない時期があった。その努力がようやく実を結びつつある中で、Bセグメントという小さなクラスに進出するのはどうなんだろうか?

あえて例えるなら、「新興フレンチレストランが早くもコンビニ弁当を売り出す」ような感覚。もちろん、それがおいしいなら弁当は売れるだろうが、レストランのブランドイメージは下がってしまわないか。

太田哲也の視点:レクサス LBXに感じる違和感

僕個人としては、それでもレクサスが独自に開発したコンパクトカーであれば納得できた。

でも、既存のヤリスクロスのプラットフォームや素材をそのまま使っているとなると、「あれ、レクサスってトヨタのセカンドブランドなんだっけ?」と考え込んでしまう。その昔、セドリックとグロリアがあった関係性みたいな……(あれは日産だけどさ)。

高級車ブランドが小型車を展開する意味は理解できるし、きっと多くのユーザーにとっては魅力的な選択肢になるだろう。ただ、個人的には「レクサスのブランド」は、もっと大事にした方がよいのではと思う。

最後に:レクサス LBXの未来

LBXは、間違いなく新しい顧客層を獲得するだろうし、レクサスブランドの裾野を広げる一助となるだろう。ただ、それが「高級車ブランド・レクサス」のイメージをどこまで守れるのかは、これからの展開如何にかかっている。

試乗してみると、ヤリス クロスとの違いを実感できるかもしれない。その上で、「これが新しいレクサスの形だ」と思えるかどうかは、あなた次第だ。

レクサス LBX  “Elegant”  2WD

●全長×全幅×全高:4,190mm×1,825mm×1,545mm
●ホイールベース:2,580mm
●車両重量:1,300kg
●エンジン:直列3気筒DOHC
●排気量:1,490cc
●エンジン最高出力:67kW(91PS)5,500rpm
●エンジン最大トルク:120N・m/3,800-4,800rpm 
●トランスミッション:電気式無段変速機
●電動モーター:交流同期電動機
●電動モーター最高出力:69kW(94PS)
●電動モーター最大トルク:185N・m
●駆動用バッテリー:ニッケル水素電池
●駆動用バッテリー容量:5Ah
●使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
●タンク容量:36L
●サスペンション:前/マクファーソンストラット 後/トーションビーム
●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク

車体価格: ¥4,200,000〜

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