アバルト595をより速くする方向性がみえてきた

2024.03.25

去る2月24日に富士スピードウェイのレーシングコースで開催された「アルファロメオ・チャレンジ & アバルト・チャレンジ2024 関東第二戦」にTeam KEEP ON RACINGとして参戦してきた。

僕はチームメンバーと一緒に走るため、このところタイムアタッククラスにエントリーしていたのだが、今回はアバルト 595 コンペティツィオーネを駆るIさんがレースクラスにステップアップするということで、お付き合いして、僕も久しぶりにレースクラスで走ることにした。

アルファロメオ・チャレンジ & アバルト・チャレンジ(以下アルチャレ)は、車種やカスタムの程度によって複数のカテゴリーが設けられている。僕らが出場するレースAでは、アルチャレの猛者たちが激しいバトルを繰り広げて上位争いをする「アルファ・MITO-R」クラス、もう少し穏やかな「アルファ・MITO」、アバルト595をベースに大型タービンに変更した「AB150-0」クラス、そして僕らがエントリーする595の純正タービン仕様の「AB150-1 AB150-2」クラスの混走となる。
久々の出場で、上位争いのクルマにどのくらい後れを取るのか、あるいはさほど離されずに着いていけるのか不安と期待があった。

●テールハッピーをブレーキで対策
ところで前回の2月4日、筑波サーキットで開催された開幕戦では、ハードブレーキングをすると、テールが激しく左右に振られてしまうことを確認していた。以前からこの現象はあったのだがすっかり忘れていて、対策を講じていなかった。
そこで今大会参戦にあたっては、ブレーキバランスの改善を狙いリアブレーキパッドの摩材の変更をサプライヤーさんに依頼した。具体的には制動初期にブレーキローターへの食いつきがよい摩材だ。
ブレーキング時にテールがジャッキアップする現象をそれで抑えようと思ったのだ。

大会前に新しいリアブレーキパッドを装着し筑波サーキットにテストに行ったのだが、あいにくの雨。そうなるとブレーキを強く踏まないので明確な結果は出なかったのだが、それでも良さげな感触はあった。それで富士スピードウェイでの本大会ではこのニューパッドを使用することにした。
それにしても通常のFF車は、基本的に安定した挙動=アンダーステアで曲がらない特性を持っているのだが、ショートホイールベースでワイドトレッドの595は、FFながらも挙動がピーキーで、リアが唐突に出るじゃじゃ馬であることを改めて認識した。そこが595の楽しい所なのだが、サーキットでタイムを出すにはそこを調教する必要がある。

●サスセッティングで対策
リアがブレイクしリアが踊る挙動を抑えるためのさらなる対策として、フロントの車高をアップしてみることを思いついた。

現地で作業しようと思い、とりあえず富士スピードウェイに向かう。15分間の練習走行は車高をイジることなくコースイン。このプラクティス(練習走行)も雨で路面が濡れていた。

プラクティスを終え、予定通り予選前にフロントの車高をアップした。まだ濡れていたのだが、比較的挙動が安定していてフィーリングは悪くない。ところが予選結果は「猛者」のトップに2秒も離されて、遅い。データを調べてみたら、先の雨のプラクティスよりもストレートスピードが数キロ程度遅いことがわかった。原因として思いついたのはフロントを上げたことで空気抵抗が増えてしまったのかもしれない。約1.5kmある富士スピードウェイのホームストレートで他のクルマよりも遅かった。

予選は総合で8位だった。空気抵抗を減らすために決勝前にフロントの車高を下げることにした。決勝では結果的にこれが正解で、ストレートスピードが伸び、タイムを上げることができた。

今回レースクラスを走ったことで、他車との違いや今後の課題が明確になったことが収穫だ。他車は軽量化のためにリアシートが無いとか、テールハッピーを抑えるため大型スポイラーを装着しているとかかなり改造が施されていた。レース序盤に一台をパスしたが、ストレートで抜き返された。しかし猛者のトップにベストタイム差は0.5秒で、差を縮めることができた。
次回、上位を争うために、さらにストレートスピードを上げる対策を考えたい。

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