アバルト595は仕様を大幅に変更できるところが魅力

2024.03.11

アルファロメオチャレンジ・アバルトチャレンジ第1戦筑波 その1

去る2月4日に筑波サーキット コース2000で開催された「アルファロメオチャレンジ・アバルトチャレンジ Rd.1」にTeam KEEP ON RACINGのメンバーとして、同じチーム員のK氏と一緒にタイムアタッククラスに出場した。

参加車両はアバルト TEZZO 595 RT1(アバルト 595 コンペティツィオーネ)。持病だったパワステの不具合で久しく乗っていなかったのだが、ようやく回復を果たした。595で走るのはとても久しぶりだ。

今回は2024年シーズンのアルチャレ開幕戦で、結果として出場したアバルト枠の中で1位を獲得することができた。幸先のいいスタートを切れたのだが、改めて595の楽しさと、TEZZO 595 RT1の大きな課題に気づいた一日だった。

筑波サーキットは普段、マツダ・ロードスターで頻繁に走っているのだが、こちらはFR車、595はFFという駆動の違いがある。挙動が違い走らせ方も違う。通常、FF車は「曲がらない=アンダーステア」とう特性があるのだが、595はその常識の範囲外にある。超ショートホイールベースかつワイドトレッドが特徴的な595は、FFながらも挙動がピーキーで、テールハッピー。そのキャラクターを端的に言うと、じゃじゃ馬。
コーナリング中にテールが突然ブレイク、ブレーキングで尻振りダンス。テクニカルな筑波サーキットでは、その挙動がより顕著に出る。

そういうことを最初の時点で忘れていて、コースインして第一コーナーでガツンとブレーキを踏んだら、テールが大きくスライドさせてしまった。スピンこそ免れたが、「そうか、595って、こんなだったなあ~」。ピットに戻ったらメカニックが「すっごく攻めてましたね! テールが大きく左右に振れていました」だって。そんなに攻めなくても振れてしまうんだよね~。

その後は左右の振りを抑えるため、弱めにブレーキを踏んだのだが、今後の課題は、強いブレーキングができるようにクルマを改良することだ。

対策としては、①リアダンパーの減衰を上げる、②アライメントを変更してみる、③ブレーキパッドの磨材を変えて前後バランスでリアの挙動を抑制する、といったメニューが考えられる。

『ビースポーツ ・ロードスター・マスターズ』に出場している僕のマツダ・ロードスターNR-Aは、イコールコンディションを想定していてパーティレースと同様の車両規則となり、イジれるところが極めて少ない。ドライバーが走りを極める方向性だ。
アルチャレの規則はそれに比べてある程度の改造が許され(もちろんアルチャレの車両規則の範囲だが)いろいろとチューニングできるので、クルマを煮詰める面白さがある。

そしてなんといっても595の面白さは、ターボエンジンを積んでいるところからくる。ロードスターNR-Aは排気量1.5リッターの非力なNAエンジンを採用しているが、595はコンパクトなボディに最高出力180psの1.4リッター直列4気筒DOHC16バルブターボエンジンを搭載している。これが、じゃじゃ馬っぽさを演出している要因のひとつとなっているともいえる。いまどきのターボエンジンのようなナチュラルなフィーリングではなく、いきなりドカンと唐突にブーストがかかる古典的なフィーリングがとても刺激的だ。これは面白い。今回走ってみて、改めて魅力的なクルマだと思ったのだった。