エアクリーナー(エンジンに取り込む空気を濾過するフィルター)交換のメリットを考察(所員:高桑秀典)
2020.04.29
クルマ好きであれば誰しも、エンジンを最適な状態で稼動させたいと思ったことがあるはず。
内燃機関をベストコンディションで動かすためには、まず、良い混合気が必要になります(もちろん、圧縮と点火と燃料も重要ですが、今回は混合気の話をします)。良い混合気とは、空気中のゴミ等が混ざっていない、冷たくてクリーンな空気のことです。この「冷たくて」という部分が第一のキモなので、簡単に説明しましょう。
吸気温度が上昇すると空気が膨張するため、密度が下がり、酸素量が下がることで出力が低下します。さらにガソリンエンジンでは吸気温度が上がるとシリンダー内の最高圧縮温度も上がるため、自己着火の異常燃焼であるノッキングが発生しやすくなります。吸気温度の上昇を抑制するためのインタークーラーという熱交換器も存在しています。
ちなみに、エンジンに取り込まれる空気は、燃料と混合されてシリンダー内へ送られます。シリンダー内で圧縮されたところで混合気に点火(着火)し、その燃焼(爆発)がエネルギーになっています。取り込んだ空気に異物が混ざっていると、うまく燃焼しなかったり、ススが出たり、場合によっては空気の通り道を塞いでしまうようなことになります。
そのようなことにならないように、エアクリーナー(エンジンに取り込む空気を濾過するフィルター)を通過させたクリーンな空気をエンジンに送っているのですが、この「エアフィルター」が第二のキモなので、再び簡単に説明しましょう。
エアクリーナーには大気中に舞うゴミをキャッチするという集塵性能が求められるわけですが、エンジンを最適な状態で稼動させるためにはエアクリーナー=ゴミをたくさん取れるというだけではダメなのです。どういうことかというと、ゴミを確実にキャッチしつつ、それでいて吸入抵抗が少ないほうがいいからです。
いま、皆さんも新型コロナウイルス感染症にならないように外出時にマスクをしていると思いますが、マスクをして歩くと息苦しいですよね。エンジンも同じことで、空気を吸い込む際の流路の抵抗が大きいと吹け上がりや燃費が悪くなったりするわけです。
そこで、エンジンチューニングのひとつとして、純正のエアクリーナーを空気の吸入効率がいい高性能エアクリーナーに交換するというメニューがあります。高性能エアクリーナーに交換することによって、クリーンな空気をエンジン内に取り込めるようになるだけでなく、流入抵抗も少なくなるので必要に応じて大量に空気を送り込むことが可能となり、それがパワーアップへとつながるのです。
参考までに記しておくと、写真のTEZZOカーボンエアインテークシステムは、センターインテーク構造を採用した布製フィルター式エアクリーナーと遮熱性に優れたカーボンエアボックスから構成される優れたエアインテークシステムです。
エンジンルームの熱い空気を吸い込まず、冷たい空気を効率よく流入するために遮熱性の高いカーボンボックスを採用しているのです。外気をエンジンルーム内の熱の影響を受けにくいカーボンエアーボックスに取り込み、流入速度を高めてエンジン内に圧送するため、出力やエンジンレスポンスの向上、燃費の改善、さらには心地よい吸気音も楽しめます。
新型コロナウイルス感染症による惨禍が収束したら、高性能エアクリーナーを装着した愛機で走ってみてはいかがでしょうか。