フォルクスワーゲン ゴルフRのブレーキを考察〜TEZZOがゴルフRサーキット用ブレーキパッドを開発 (所員:高桑秀典)
2018.09.29
現行フォルクスワーゲンの中で最速の称号を得ている『ゴルフR』は、最大出力を228kW(310ps)まで高めた2.0リッターターボ TSIエンジンと、常に理想的なトルク配分を叶え姿勢をも制御するフルタイム4WDシステム“4MOTION”、そして超速のシフトチェンジを可能とするDSGトランスミッション(6速から7速に進化!)を採用しています。実用的なゴルフのイメージからかけ離れ、フォルクスワーゲンのエンジニアたちが創造した究極の一台です。ドライバーの感性を刺激し、情熱を掻き立てる点は、もはやスポーツカーと呼ぶべきかもしれません。
なかでも注目すべき“4MOTION”は、あらゆるシーンにおいてドライバーの運転を補助する機能を持ち、特にウェット路でのスタビリティとスポーツカー並みの速さは目を見張ります。しかし、その一方で電子制御の介入によって、ドライバーがブレーキを踏んでいなくてもクルマ側(電子制御システム)がブレーキを作動して姿勢を制御をしてくれる(してしまう)性能を有し、サーキット走行時にはブレーキの介入が頻繁に行われます。純正で強力な対向ブレーキが装備されているものの、それでもサーキットを連続して全開走行をすると純正のブレーキパッドでは過熱して炭化し、ボロボロになってしまうことすらあります。ただしそもそもゴルフRは走る歓びを極限まで高めた至高のロードカーであり、サーキット専用車ではないので仕方ないことではあります。
そこでゴルフRのパフォーマンスをサーキットで楽しみたいユーザーに向けて、カスタムカー・メーカーの『TEZZO』は、適正な耐熱性を持ったスポーツブレーキパッド『TEZZO BREC BDパッド・ドライビングレッスンforゴルフR』の開発を進めてきました。去る9月5日に行ったテストでは新型ゴルフRを袖ヶ浦フォレストレースウェイに持ち込み、連続で30分×2回を全開で走りました。ピットに入ってローターの温度を計測したところ520℃を超える高熱でしたが、ブレーキパッドの炭化もなく、安心してサーキット走行を楽しめることが確認できました。
方向性として、摩擦係数を過度に上げてガツンと効くセッティングにしてしまうとABSの早利きが起きかえって制動距離が延びてしまうので、そうならないよう前後のバランスを重視した『BDsystem(brake distribution前後配分適正化)』の考えを導入しています。
取材・文/高桑秀典(ラボ所員)
【関連ウェブサイト】
http://www.tezzo.jp