スバルのEV、ソルテラの試乗会に行ってきた!

2022.06.30

スバルがトヨタと共同開発した新世代EV、スバル・ソルテラ/トヨタbz4Xの試乗会に行ってきた。

ソルテラ/bZ4Xは、大容量のリチウムイオンバッテリーに液冷システムを採用したことで、細かな温度管理を実現し安定したパフォーマンスを発揮するように工夫されている。充電システムは、普通充電およびCHAdeMO規格の急速充電に対応し、コネクターを挿し込むだけで簡単に充電できる。

今回の試乗会は金沢を出発し、一般道の山坂道を走るのが主体に、松本を経由し、軽井沢まで走るという長距離なルートで、一日がっつり走りどおしの試乗会だった。

一般的なプレス試乗会は、フル充電で試乗を開始し減った状態で返却、モータージャーナリストは乗るだけという感じだが、今回は違った。我々には、松本での返却時に走行可能距離として200km残っているように、というタスクが課されたのだ。つまり必要なタイミングで適切に充電もしなければならず、よりユーザーに近い走り方が求められる。

ちなみに、ソルテラ/bz4Xの一充電走行距離(国土交通省審査値)は、EVの愉しさを凝縮した駆動方式を選べるスタンダードモデル、ET-SSのFWDが567km、ET-SSのAWDが542km、本革シートなどの上級装備をまとったハイクオリティモデルのET-HSが487kmとなる。

というわけで、今回はドキドキしつつ、実は少し面倒くさいという気持ちもあった。というのも、バッテリーの残量を常に気にしながら、どれくらい走れるのか?を考え続けなければならず、行程、スケジュール、どこで充電するか?など考えることが多かったからだ。

考えてみればガソリン車の場合、とりあえず家を出て、途中でナビを設定したり給油したりしながら気楽に移動できる。今回はそういかない。出発の際、教えてもらった充電ポイントは道の駅や市役所など合計10ヶ所。試乗会に参加したモータージャーナリストが20人だったので、単純に割り算すると1ヶ所に2人が重なる計算となる。

一般のEVユーザーも含め先に充電している人がいたら、ひとりが20~30分、こちらが同じく20~30分かかり、充電に約1時間以上かかってしまう。到着時間が決められていたこともあり、けっこうタイトなスケジュールだ。

そこで僕は早めに充電してしまう作戦を取った。2番目の充電ポイントで早速充電。しかし、ここで誤算発生。バッテリー残量が67%だったので約40%以上入るなと思ったのに、急速充電の効率性を考えて80%に設定されていたのだ。30分ではなく10数分で終わってしまった。

まあ、その先の充電ポイントで追加充電すればいいだろうと考えなおしたのだが、行程の中半以降では行くところ行くところで他のモータージャーナリストが充電している。こうなったら昼食を取らず、みんなを追い越し最後の方で充電する作戦に変更だ。しかし後半になってもどこも満杯。

どうしようか。結局、省エネ走行に作戦変更だ。エアコンを切って(約10数%節約)、できるだけ信号で停まらないよう手前で速度調整。ゴールの松本のホテルに到着したときは残量200kmぎりぎりだった。
うまくいったのは、後半部分で道がすいていたことと、金沢から松本の大半のルートが下り坂で、回生ブレーキにて充電しながら走れたことがラッキーだった。
到着順位は一番で(別に競争ではないけれど)早めに充電して結果オーライだったが、とにかくドキドキ。エアコン切って窓を閉めて、手(と体)に汗かいた試乗会だった。

EVは、行き当たりばったりではなく、計画的に移動しなくてはならないことが身に染みた。頭を使うとも言えるかな。EVの数を増やすのはいいが、それと同時に充電ポイント、つまりインフラの整備は必須だと改めて思った。

肝心の試乗に関しては、なにしろゆっくり走ったので、いつものように深い素性まで探求することはできなかったが、加速がいいこと、山道でもバッテリー温度の上りが抑えられパワーダウンもしないこと(ゆっくり走ったせいもあるが)。ボディ剛性が高く操縦安定性も高く、室内も遮音がきいて静かなことが分かった。
ソルテラとBZ4Xを比べると、ソルテラの方が若干足がしっかりしていて山坂道で安定。一方でbZ4Xは路面からのアタリが柔らかく、その一方でコーナーではハンドルを切ったときにグラッとする挙動が見受けられた。ダンパーの減衰力を違えているそうだ。

またこれはスバル初の装備らしいが、カーブの曲率をクルマが判断し、急カーブだとブレーキを強めにアシストする機能がある。急カーブのアプローチでブレーキを強く踏む必要がない。そうしたプロアクティブドライビングアシストや先行車発進アラームなど、ドライバーの運転ミスや疲れをカバーし、事故を未然に防ぐ予防安全装置も配備する。

クルマが進化し、どんどん運転をラクにさせる技術が発展してきている。
今後、運転手の役割は運転の要素から、行程管理、バッテリーの残量管理、居住空間の中で何をするかの準備、どんな音楽を聴くかということなどにシフトしていくのかもしれない。

〇スペック

ソルテラ

●全長×全幅×全高:4690mm×1860mm×1650mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1910~2030kg
●原動機(モーター):交流同期電動機
●定格出力:FWD/73kW AWD(常時全輪駆動)/前後とも59kW
●最大出力:FWD/150kW/5379~7500rpm AWD/前後とも80kW/4535~12500rpm
●最大トルク:FWD/266N・m/0~5379rpm AWD/前後とも169N・m/0~4535rpm
●駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
●総電圧:355.2V
●総電力量:71.4kWh
●前輪サスペンション:ストラット式コイルスプリング
●後輪サスペンション:ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
●主ブレーキ形式:油圧・回生ブレーキ協調式
●ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

〇プライス

ソルテラ ET-SS FWD ¥5,940,000
ソルテラ ET-SS AWD ¥6,380,000
ソルテラ ET-HS AWD ¥6,820,000